暁 〜小説投稿サイト〜
イベリス
第二十九話 報いを受けた人その二

[8]前話 [2]次話
「残酷であることも」
「一生報いを受けることもですか」
「自業自得、因果応報と言えばそれまでですが」
「それでもなんですね」
「後悔しても遅く7」
 そしてというのだ。
「後悔に苛まれて一生を過ごす」
「それも人生ですか」
「人生は時として残酷なものなので」
 その為にというのだ。
「そうしたこともです」
「あって」
「貴女は今日それをご覧になられるかと」
「そうですか」
「貴重なことを学ばれて下さい」
 速水の言葉は強いものだった。
「是非」
「わかりました、ただ私は後悔はしたくないですね」
 咲は考える顔で述べた。
「やっぱり」
「どうしてもそう思いますね」
「そうですよね」
「ですが人は生きていてです」
 その中でというのだ。
「後悔しない人もです」
「いないですか」
「左様です。人は必ずです」
 生きていればというのだ。
「後悔もします」
「後悔したことがない人はないですか」
「間違いなく」
 そうだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「私も後悔したことがあり」
 そしてというのだ。
「後悔していることがあります」
「そう言われると私も」
 咲もだった。
「あります」
「左様ですね」
「はい」
 幼い頃のこと、そして今のこともだ。咲は確かに後悔していることがあった。そうして言うのだった。
「幾つも」
「それが普通です、後悔したことがない人は」
「いないですか」
「誰一人として」
 まさにというのだ。
「いません、ただその後悔の内容が問題で」
「許されないことをしてですか」
「一生報いを受け続ける様な後悔は」
 そうしたものはというのだ。
「やはりです」
「受けるべきではないですね」
「そう思います」
 こう言うのだった。
「私にしても」
「そして今日私はですか」
「その後悔をご覧になられます」
「そうなんですね」
「その時は正しいとか楽しいとか思っていていても」
 例えそうであってもというのだ。
「後で、です」
「後悔するんですね」
「自分で気付くか誰かに責められて」
「そして後悔しますか」
「それも一生、アメリカの日系人強制収容所はご存知でしょうか」
「二次大戦の時にあったんですよね」
 実は咲はこのことについて深く知らない、ただ聞いたことがあるのでその聞いた範囲内で答えた。
「アリゾナの砂漠に」
「西海岸の日系人は全て送られました」
「敵性国民だからですね」
「そこに人種的偏見があったことは明らかでした」
 当時のカルフォルニアの市民達の間にだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ