第七十九部第二章 観戦武官達の動きその四十八
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「終わるのだからな」
「最後の最後まで、ですね」
「見ていよう」
「それでは」
通信士も頷いた、そうしてだった。
彼等は今は寿司と酒を楽しんだ、しかしその翌日だった。連合中央政府軍そして各国軍の観戦武官達はそれぞれの席に着いた。
そしてモニターから映る状況を見つつだ、口々に言った。
「いよいよだな」
「ああ、はじまるな」
「両軍動きだした」
「対峙しはじめたぞ」
「またはじまるぞ」
「三度目の会戦のはじまりだ」
こう口々に話していた。
「今度はどうなるか」
「見せてもらうか」
「長い会戦になってもな」
「交代で見ていくか」
「ドーナツ持って来てくれ」
「桃饅頭だ」
「羊羹を頼む」
多くの士官達が菓子を注文した。
「食いながら見るからな」
「どんどん持ってきてくれ」
「あと飲み物も持ってきてくれ」
「熱いものを頼む」
後ろに控えている士官室係の兵達に言うとすぐにそうしたものが出されてだった。彼等はそうしたものを口にした。
そのうえで会戦を待つが。
ふとだ、多くの士官がティムール軍の動きに妙な点があることに気付いた。
「おかしいな」
「ああ、どうもな」
「ティムール軍の動きが鈍いか?」
「これまでと比べてな」
「用兵が襲いな」
「少しそんなところがあるな」
彼等のその動きを見ての言葉だ。
「何かあったのか?」
「采配を執っているのはシャイターン主席だろう?」
「乗艦はあるぞ」
彼の乗艦にしてティムールの総旗艦であるシャハラザードの姿は確かにある。
「いる筈だな」
「シャハラザードがあるからな」
「それでもな」
「何か動きが悪いな」
「少しだけでも」
彼等はそれぞれ菓子や茶、コーヒーを口にしつつ言った、そしてそれはエウロパ軍やマウリア軍の観戦武官達もだった。
ティムール軍の動きを見てだ、少しいぶかしんだ。
「おかしい」
「何かが違う」
「どうもな」
「普段のティムール軍ではないぞ」
「少し動きが悪い」
「鈍い感じがする」
「左右の調和が取れていないか」
そうした傾向があるというのだ。
「何かあったのか」
「シャハラザードがある本陣を軸にまとまっているが」
「少しな」
「妙になっている気がする」
こう言っていぶかしむ、しかしだった。
ティムール軍は動き続けていた、アッディーンが率いるオムダーマン軍に向かって。違和感を観る者達に見せていたがそれでもだった。
三度目の会戦がはじまろうとしていた、双方共今度こそ決着をつける為に。
観戦武官達も見るのだった、その決着をつける会戦を。
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