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レーヴァティン
第二百二十七話 会津若松城その十

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「ならな」
「我々もです」
「政として極端に走らず」
「おかしなことはしませんね」
「ああ」
 そうするというのだ。
「そしてな」
「乱さずにいく、差別や偏見を利用することはな」
 政にというのだ。
「しない」
「いいやり方ではないですね」
「それが効果を出すこともあるが」
「差別や偏見を助長させて」
「そしてな」
「共通の敵とする」
 国家のだ。
「そして団結を進める」
「ナチスもしましたね」
「ソ連もな、そしてだ」
 英雄はさらに話した。
「効果を出したが」
「それはですね」
「後々厄介なことにもなる」
「差別する側とされる側を生み出せば」
「それが国家の分断となってだ」
「国家の崩壊にもつながる」
「少なくとも被差別側からの優れた人材は手に入らない」
 そうなることは確実だというのだ。
「それはな」
「国としてマイナスですね」
「またそこから虐殺も起こる」
「歴史にある通りに」
「カトリックとプロテスタントもだった」
 宗教対立の話もした。
「三十年戦争も然りでユグノー戦争もな」
「宗教での差別や偏見が元で」
「おぞましいことになった」
「サン=バルテルミーの虐殺もありました」 
 源三が言ってきた、フランスのカトリック側のプロテスタント側に対する虐殺だがプロテスタントでない者も多く殺された。
「そしてです」
「ユグノー戦争ではな」
「多くの血が流れました」
「三十年戦争もだった」
「どちらも惨い戦争でした」
「ああした戦争も起こり」
 そうしてというのだ。
「国家に深い傷跡を残す」
「そうもなりますね」
「だから差別や偏見を助長させることはな」
「政として行いませんね」
「そうする」
 絶対にというのだ。
「俺はな」
「左様ですね」
「そうだ、そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「国をまとめる、そして全ての人材をな」
「幕府は用いますね」
「人材は一人でも多く必要だ」
 英雄はこうも言った。
「何しろ俺達の敵はだ」
「神です」
「海の魔神だ」
 この神が敵だというのだ。
「まだほぼ何もわかっていないが」
「この世界の殆どを石として海に沈めたのです」
「恐ろしい力を持っている」
「そのことは間違いないです」
「その神が相手だ」
「それならばです」
「尚更だ」
 それこそというのだ。
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