第166話
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閲覧できません。』と書かれている。
何か用があると思うのだが、急用なら電話してくるだろうと、適当に考える。
携帯の時計を見ると、店を出て結構時間が経っている。
思いのほか桔梗の愚痴が長かった。
さっさと戻るか、と思った時だった。
周りの違和感を感じたのは。
完全下校時刻を過ぎでも、地下街には大学生を中心とした、麻生よりもやや年上の人達が行き交っていた。
その人達が麻生を除いて全員居なくなっている。
左右を見渡しても、人影すらない。
(この感じ、人払い。)
魔術師が魔術を隠蔽する為に、特定の人物を除く一般人を払う基本的な魔術。
だが、人払いが発動すれば否が応でも麻生はそれを感じ取る。
それなのに、その違和感などが全く感じなかった。
この感じは前にも経験した事がある。
前を見ると、そこには麻生に意味深な発言を残してきたあの猫がいた。
さっきまで見なかったのに、最初からそこに居たかのように思わされる。
「お前の方から来てくれるなんてな。」
「私を捜していたのか?」
突然現れた猫に全く驚く事無く、麻生は話しかける。
「お前、ダゴン秘密教団の事を知っていたんだろ。」
「そうだ。」
「なら、何故俺に教えなかった。
そうすれば、愛穂達はあんな思いをしなかったかもしれない。」
この猫とは何度か会っている。
ダゴン秘密教団の事などを教える事もできた筈だ。
それなのに、この猫はしなかった。
麻生は殺気を猫に向ける。
「ふっ。」
それを猫は鼻で笑った。
「何が可笑しい?」
その態度が麻生を苛立たせる。
「結果論だな。
例え、私がダゴン秘密教団の事を教えても、あの結果は覆す事はできなかった。
バルドが出てきたのだ。
今のお前では逆立ちしても勝てる相手ではない。
黄泉川達も同様だ。
腕と足が一本ずつ無くしただけで済んで、良かったと思わないとな。」
「テメェ。」
堪らず麻生は拳を握り、猫に殴りにかかる。
麻生の拳は容易くアスファルトを砕く。
そこに猫の死体はない。
「バルドが出てくるのは星も予想していなかった。」
右を向くと、怪我一つない猫が立っている。
猫の発言を聞いて、麻生は眉をひそめる。
「星も予想していなかっただと?」
「そうだ。
これまでの戦いの結果は星も予想していた。
0930事件では上条当麻と共に前方のヴェントを倒す筈だった。
なのに、ティンダロスの猟犬を従えた魔術師、そしてバルドがやってきた。
星の想定していた結果とは大きく離れた。」
「つまり、あれか。
俺は今まで星の掌の上で踊っていたって事か。」
「そういう事になるな。」
「そうか・・・・・
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