第七十四話 戴冠式
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ざいます」
「前途有望な少年と知己になる事は悪い事ではないからね」
「教皇聖下が、この戴冠式に是非出席したいと仰っておりましたが、調整がつかず代わって私が参加する事になったのです」
「それは残念でございます。早急に即位し、亡き先王を安心させたい為に、この様な急な日取りに決まったのです。教皇聖下にはヴィットーリオ殿からお詫びの言葉を伝えていただけるとありがたいです」
「教皇聖下にはその様にお伝えいたしましょう」
ロマリア教皇が戴冠式の不参加を聞き、マクシミリアンは教皇に無理難題を吹っかけられなくて良かったと胸を撫で下ろした。
二三会話をしマクシミリアンはヴィットーリオを好ましく思ったものの、側に居たカトレアは、持ち前の感で彼の心の中に狂気にも似た信仰心が存在する事に気が付いた。
「中々、良い人材だったな、彼の活躍で埃を被ったロマリアも少しはマシになれば良いけど」
「マクシミリアンさまは、ヴィットーリオ殿の教皇即位への支援をなさるおつもりですか?」
「まさか、藪を突いて蛇を出すような真似はしないよ」
「それを聞いて安心しましたわ。彼の事、少し怖く感じました……」」
「ん? 人の悪口なんてカトレアらしくないな。カトレア自慢の直感に何か引っかかったのか?」
「なんと言いましょうか、彼の事が怖く感じましたので」
「……ふ〜ん。カトレアがそこまで言うんだったら、そういう男なのかもね」
ヴィットーリオの件はこれで終わりとなった。
後にヴィットーリオはロマリア教皇と成り、マクシミリアンと暗闘を繰り広出る事になるが、それはもうちょっと先の話。
戴冠式が始まり、トリスタニア大聖堂の周りには、その光景を一目見ようとトリスタニア中から人々が集まり、軍隊が出動して整理を行う騒ぎにまで発展していた。
大聖堂の中では戴冠式は滞りなく行われ、大主教がマクシミリアンに伝国の王冠を被せると、場内から一斉に拍手が巻き起こった。
『マクシミリアン国王陛下万歳!』
『トリステイン王国万歳!』
王冠を頂いたマクシミリアンは、始祖の祈祷書を持ち、前々に用意しておいたスピーチ文を読み始めた。
マクシミリアンの演説を貴族達は一字一句聞き逃さないように聞いている。
スピーチをしながら大聖堂内を見渡すと、カトレアが居て側にアンリエッタとマリアンヌが居る。ラ・ヴァリエール公爵夫妻にエレオノールとその妹のルイズ、元帥に昇格が内定しているグラモン伯爵、治水に失敗して王家に借金を申し込んできたモンモランシ伯爵、その他大勢の貴族達、その中にミランが居て、アニエスがヌーベルトリステインで注文したドレスを着てこちらを見ている。
そして、マクシミリアンは、日々生活を続ける全
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