第七十四話 戴冠式
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「こんな時に遊んでなんかいられません! 子ども扱いしないで下さい!」
「アンリエッタはまだ十歳だろ? 十分子供さ」
「お兄様は、十歳の時は遊んでいたの?」
「ん? それは……」
マクシミリアンが記憶をたどると、十歳の時はカトレアの病気を治す為に奔走していたり、少しばかり政治の手伝いをしていた事を思い出した。
「カトレアの事もあったし、あまり遊んでいなかったな」
「マクシミリアンさま……」
「カトレアが気に病むことじゃない」
「でも……」
「デモもストもない」
そう言ってカトレアの唇を吸った。
「私を無視しないで!」
「無視してないよ。アンリエッタ、王族の使命と義務に目覚めたからって、いきなり全てを抱え込む必要な無いよ。今はじっくり知識と教養を貯め込んでおくんだ」
「で、でも!」
「僕の真似をしなくても良い。アンリエッタはアンリエッタさ」
「……分かりました。お言いつけ通り、お勉強をしてきます」
そう言ってアンリエッタは、バタバタと廊下を駆け去っていった。
「マクシミリアンさま、少し言い過ぎでは?」
「言い過ぎではないさ、行こうか」
マクシミリアンとカトレアは会議室へと向かった。
自室へと走り去ったアンリエッタは、部屋に鍵を掛けベッドに顔を埋めて、自分の力の無さを悔しがった。
「悔しい、お兄様はあんなに上手く出来たのに、どうして私はこんなに無能なんだろう……」
枕を涙で濡らしたアンリエッタ。
「いつの日かお兄様のお役に立てるようになろう」
と決意を新たにした。
☆ ☆ ☆
マクシミリアンが帰国してすぐにエドゥアール王の死が公表され、同時に王太子マクシミリアンの国王への即位も発表された。
帰国して三日後、マクシミリアンはエドゥアール父王の遺体を歴代国王の墓地に葬り、盛大な葬儀が執り行われた。
葬儀を済ませると、次にマクシミリアンの戴冠式がトリスタニア大聖堂で執り行われる事になった。
急な日取りの戴冠式であった為、国賓は招かず各国の大使のみが来賓として参列した。歴代の国王の戴冠式と比べれば地味な印象だった。
トリスタニア大聖堂で行われた戴冠式には、ラ・ヴァリエール公爵夫妻を始め全ての封建貴族や宮廷貴族が参列していた。
戴冠式の前、マクシミリアンは一人の少年と出会う。
少年の名はヴィットーリオ・セレヴァレといってロマリア連合皇国において、若くして枢機卿まで登り詰めた少年だった。
「陛下、お忙しい時間を割いていただき、真にありがとうご
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