疾走編
第三十五話 新任参謀アンドリュー・フォーク
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」
「ですね」
重要な会話が淡々と続いている。二個艦隊もの援軍を要請したのは驚きだった。エル・ファシル陥落の件以来、同盟の防衛体制に変化が現れ始めた。ジャムジードに正規艦隊が駐留するようになったのだ。各正規艦隊が半年交代で駐留する。そしてその駐留する艦隊が来援するのだ。任官以来初めての大規模戦闘になるのは間違いない。高揚する自分がいる、が、抑えねばならない。私と同じ様に大きく息を吸い込むのはウェッブ大尉だった。
しかし少佐は帝国の内情にも詳しそうだ。前にバルクマン先輩が言っていた。『あいつは何でも知っている』と…重用されるのも頷ける。シェルビー准将はビュコック提督に頼み込んで少佐を自分のスタッフにしたそうだ…。
その後も二、三の日常的な会話が続いて、昼食を兼ねた様な会議は散会となった。シェルビー司令とイエイツ中佐か作戦室を出ても少佐は席を立とうとしなかった。何か、考え込んでいる。
「少佐、よろしいですか」
「何だい?もう別れてもいいんだぞ。出港準備だし」
「いえ、敵艦隊出現となっても皆落ち着かれているなあと思いまして」
「内心ヒヤヒヤさ。司令部があたふたしてもしょうがないからね。俺達が焦ってみろ、兵達が動揺する」
「確かにそうですね…戦闘の推移はどうなると思われますか?」
「うーん。お前ならどうする?」
「…味方は敵の半数です。敵の一部の突出を誘って逆撃を狙い、敵戦力の暫減を図ります」
「それがフォーク参謀の答えなら…正解だが三十五点」
「は…三十五点、ですか?」
「三十点でもいい」
「…理由をお聞かせ願えますか?」
「理由か。始まれば分かるよ。さ、出港準備だ」
三十五点…三十点。何故だ?
8月19日19:00 ダゴン星域外縁、自由惑星同盟軍、EFSF旗艦ハウメア アイザック・ピアーズ
「新体制になってからの初めての大規模戦闘だ。二人とも宜しく頼む」
”心得ております、司令官閣下”
”小官も初陣の心持であります。こちらこそ宜しくお願い致します”
「貴官に司令官閣下と呼ばれるのは未だにこそばゆいな、マクガードゥル准将」
”同期とは云え、おいピアーズ、と言う訳にもいかんだろう?…何なりとご命令を”
「はは、そうだな。では本題に入ろう。現在、帝国艦隊と思われる集団はティアマトからこのダゴン星域に向かいつつある。我が方所属の第一〇四哨戒隊、第一〇六哨戒隊からの報告では、アルレスハイム、ヴァンフリートには敵影と思われる集団は無し、だ。よって同盟領域に侵入した敵と思われる集団は、このダゴンに向かいつつある集団だけだと判断する。異論はあるか?」
”ありません”
”小官もありません”
「よし。既にジャムジード駐留の第三、第五艦隊がこちらに急行中だ。よって我が艦隊の
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