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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
疾走編
第三十五話 新任参謀アンドリュー・フォーク
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、はい」





8月15日12:15 EFSF第二分艦隊 旗艦ベイリン アンドリュー・フォーク

 「昼メシ時に皆済まんな、楽にしてくれ」
作戦室に分艦隊司令部が集合した。分艦隊司令シェルビー准将、主任参謀イエイツ中佐、次席にウィンチェスター少佐。私と同じ新任のウェッブ大尉、引き続き司令部内務長のカヴァッリ少佐、そして私だ。
司令の言葉と同時にウィンチェスター少佐が昼食を食べ出した。中佐も同じ様にコーヒーを注ぎ出す。それについて司令は特段何も気にしていない様だった。彼も昼食を広げている。
最初はこの光景に唖然としたものだ。とてもじゃないが統合作戦本部ビル内でこんな風景は見られない。ウェッブ大尉も驚いたと言っていた。大尉は第四艦隊から転属して来た人で、奥方の実家がエル・ファシルにあるという。
『だからEFSFには感謝ひとしおさ。ヤン中佐やウィンチェスター少佐のおかげで俺の家族や妻の実家も助かったんだよ』と常々言っている。
「第一分艦隊所属の哨戒隊が、イゼルローン前哨宙域で消息を絶った。帝国艦隊と遭遇した様だ」
重大な出来事だと思うのだが、誰も手を止めない。
「閣下、敵艦隊の規模は分かっているのですか」
「敵は八千から一万隻程度という事らしい。既にピアーズ司令官はハイネセンに救援要請を行われた。我々も明日出港する。出港準備にかかってくれ」
中佐がポータブルPCを開く。イエイツ中佐は主任参謀ではあるものの補給面を担当しているから、艦隊運用や作戦面の補佐はウィンチェスター少佐に一任している様だった。敵艦隊の規模や出港準備という言葉を聞いても司令部内務長のカヴァッリ少佐以外は誰も動かない。中佐のキーボードを叩く音と普段と変わらない会話だけが続く。
「少佐、帝国の意図は何だと思うね」
「先日の復仇ではないでしょうか。カイザーリング艦隊をうちが叩きのめしたので、その仇討ちかと小官は推測致します。敵艦隊の出現以前には何らかの兆候はあったのでしょうか?」
「哨戒隊はイゼルローン回廊入口まで哨戒を行っていた。帝国は通常の訓練行動と回廊哨戒しか行っていなかったそうだ」
「ではやはり仇討ちでしょう。あちらには戦意には不足しない大貴族がひしめいています」
「だがカイザーリングは大貴族ではないのだろう?大貴族、門閥貴族が仇討ちなどするかね?」
「貴族の恥、と考える連中がいるのかもしれません。まあこれは推測ですので。引き続きこれも推測ですが現れた艦隊が帝国の正規艦隊だった場合はかなり厄介だと思われます」
「何故かね?」
「正規の命令系統に属する艦隊だった場合、一個艦隊では攻め寄せないと思われますので」
「確かにそうだな」
「ピアーズ司令官はどの程度の援軍を要請なさったのでしょうか?」
「二個艦隊と聞いている。まあ、妥当な数だろう
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