暁 〜小説投稿サイト〜
伴装者番外編
妹的には……(小日向未来バースデー2021)
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ムシェアしてた頃、家事は殆ど担当してたって』
「ピアノに家事かぁ……。あ、ならハンドクリームとかは?そろそろ、手が荒れちゃう時期でしょ?」
『確かに、喜んでくれると思う。でも、どのクリームを選べばいいんだろう?』
「お母さんが使ってるやつ、どこのメーカーのやつか聞いとくから」
『ありがとう、助かるよ』

くぅ〜……お兄に頼られるの、存外悪くない。
この感謝の言葉がとても心地いい……。

「わざわざお兄の為に時間割いてあげたんだから、これで告白出来なかったり、フラれたとか言ったら許さないからね〜」
『心配どうも。でも、僕は大丈夫だよ。いつまでもヘタレじゃ、小日向さんを守れないからね』
「ナイト、だっけ?お兄の将来の夢」

お兄の夢というか、目標みたいなもの。
物語に出てくる騎士みたいに、勇敢で気高く、優しい男になりたい。そういう意味が込められているらしい。

それに照らせば、確かにヘタレをどうにかしない事には、ナイトには程遠い。
この告白は、お兄にとっても重要な事なんだ。

『ああ。ようやくその覚悟を決める日が来たって事だ』
「ふ〜ん。まあ、頑張ってね。応援はしてるから」
『ありがとう。それじゃ、切るよ』
「うん。またね〜」

通話が終わり、あたしはスマホを一旦置く。

ベッドに寝転び、天井を見上げて、溜め息を吐いた。

「はぁ……お兄にも、彼女ができる頃かぁ……」

背中を押して送り出したとはいえ、思う所が全くないわけでもない。
お兄も高校生だ。いつかこの日が来るのは目に見えていた。

でも、いざその日が来ちゃうと……やっぱり寂しさとかはある。
ワガママだって、分かってはいるんだけどなぁ……。

「……今度帰ってきたら、思いっきり弄ってやる」

小日向さん、か……。

お兄の好きな人、いい人だといいな……。

なんて、そんな事を考えながら、あたしはベッドから起き上がり、下の階へと降りていった。

ついでに、お母さんにお兄に好きな人が出来たことはバラしたので、後でお兄はお母さんにも根掘り葉掘りされたらしい。
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