第二百二十七話 会津若松城その二
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「出します」
「そうしてくれるか」
「はい、そして」
「後はだな」
「民達は戦が終わるまでは」
「安全な場所にまでな」
「逃げる様に伝えるので」
英雄の前に家臣達と共に両膝を着いたうえで話した。
「どうかです」
「約束する」
「断じてですな」
「こうしてな」
ここでだ、英雄は。
自ら書いた民が城から全て出るまで攻めずかつ民には手出ししないことを約束した文にであった。
親指をに刃を向けたうえで血判を押してだ、領主に言った。
「誓おう」
「血判ですか」
「これで信じるか」
「はい」
血判をその目で見てだ、領主は答えた。
「確かに」
「ではな」
「これより民を城から出します」
惣構えの城からというのだ。
「そうします」
「ではな」
「それでは、そして」
「民が去ればな」
「それからですね」
「戦だ」
それをしようというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「民を逃がすのだ、そしてだ」
英雄はさらに言った。
「今城を去りたい侍もだ」
「今ですか」
「去れ、これが最後だ」
「若し戦の時に残っていれば」
「侍とは戦う」
こう言うのだった。
「戦う意志があるとみなす」
「城にいるなら」
「そうする、だからな」
「城を去りたい侍もですか」
「今逃げることだ」
民達と共にというのだ。
「城を出てな」
「そしてそのこともですか」
「わかったな」
「はい、その様に伝えておきます」
「お前達も同じだ」
英雄は領主と彼の家臣達にも告げた。
「今降るならな」
「よしですか」
「俺は戦う相手には容赦しない」
一切というのだ。
「手を抜きはしない」
「全力で、ですね」
「攻めてな」
その様にしてというのだ。
「倒す、そのことも聞いたな」
「今、ですがそれがしは」
城主はきっとした顔で英雄に答えた、そこには確かな決意があり揺らぐものはないことは明らかだった。
「決めました」
「戦うな」
「幕府のお考えはわかりました」
「民には手を出さずな」
「今去る、降るならいいと」
「それでもだな」
「はい」
まさにというのだ。
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