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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第105話:70億の奇跡
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「透!」
「!」

 颯人は透の傍に降り立ちながら取り出した指輪を透に渡した。その指輪とはスペシャル・ウィザードリング。一度は颯人の手でメデューサから透の手に渡りながらも奪い返され、そして今再び透の手へとやってきた指輪だった。

「奏やクリスちゃん達がお色直ししたんだ。お前もこいつ使っとけ」

 透は颯人の言葉に頷き、指輪を受け取るとそれを右手中指に嵌めハンドオーサーに翳した。

〈イエス! スペシャル! アンダスタンドゥ?〉

 スペシャルの魔法の効果により、透のメイジの鎧に上乗せする形で更に重厚な鎧が被せられていく。

 透が強化されたのを見て、颯人もさぁ挑もうかと脚を一歩踏み出したその時。目の前に魔法陣が現れるとそこからウィズが手を伸ばしてきた。

「こいつを使え」

 魔法陣の向こうからウィズがそれだけ言って手の中の指輪を颯人に放る。咄嗟に受け取ると、その指輪はルナアタック事変の最後、月の欠片を破壊するのに使用したスペシャルラッシュの指輪だった。あの後、アルドがコツコツと再びこの指輪を作っていたのだ。

 礼を言おうとしたが、顔を上げた時にはウィズの腕は既に引っ込み魔法陣も消えていた。せっかちな師匠に颯人は小さく溜め息を吐くと、渡された指輪を右手に嵌めた。

「さぁ、タネも仕掛けも無いマジックショーの始まりだぜ!」
〈スペシャルラッシュ、プリーズ! フレイム! ウォーター! ハリケーン! ランド!〉

 再びすべてのドラゴンの力を引き出した颯人。それを合図に、エクスドライブモードの装者達も合わせてネフィリムへと向かって行く。

「だが、たかが8人の装者と魔法使い如きで……」

 ネフィリムが迫る装者と魔法使い達に向け無数の火球を放つ。それらはマリアの張るバリアフィールドに阻まれ、彼女達を焼く事は出来ない。

 それは単純に彼女達の力だけによるものではなかった。

「ち〜がうんだなぁ。ここにあるのはたった8人のものじゃない」

 奏を通して颯人に伝わるフォニックゲイン。パスがあるからこそ分かる。ここに集まっているのは、たった8人ぽっちの歌ではない。

「私が束ねるこの歌は――――七十億の、絶唱ぉぉぉぉぉぉっ!!」

 全世界70億人の絶唱。マリアとセレナが繋いだ世界が生み出した、奇跡の歌。

 その前には、下らぬ妄執だけで動くネフィリムも木端同然であった。

「響き合う皆の歌がくれた――――」

『シンフォギアでぇぇぇぇぇぇッ!!』

〈チョーイイネ! キックストライク、サイコー!〉
〈イエス! キックストライク! アンダスタンドゥ?〉

 2人の魔法使いと、8人のシンフォギア装者。70億の歌を束ねた装者の光と、魔法の輝きがネフィリムへと突き進む。

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