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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第105話:70億の奇跡
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の聖詠が唄えるの?」

 シンフォギアの事をよく知るからこそ、理解できない事象。本来であればシンフォギアは1人につき一つしか扱えない。

 その秘密は、もともと破損していた事で機能にエラーが起こった事にある。本来なら起動しない筈のギアが、超高出力のフォニックゲインに加え、理論では説明しきれない要因――即ち『愛』によって、奇跡とも言えるシステムの誤作動によって引き起こされたのである。

「調が居る……切歌が居る……セレナが居る……ガルドが居る……そして、マムもついている。皆が居るなら、これ位の奇跡…………安いもの!!」

 マリアの想いに応えるべく……或いは触発されてか、その場にいる装者が全員唄った。いや、唄おうとした。

「ッ!?」
「ッ、奏?」

 そんな中でただ1人、奏は胸に浮かんだ歌を紡ぐのを躊躇した。何故ならこの瞬間、彼女達の胸に浮かんだ歌は絶唱だったのだ。

 不完全な装者である奏には絶唱の負担は大きすぎる。だが奏が唄うのを躊躇ったのは我が身可愛さからではない。彼女が受ける負担は全て颯人が受けてしまう。
 それが分かっていながら絶唱を唄うのは――――

「奏ッ!」
「ッ!!」

 その時颯人が奏に声を掛けた。まるで奏の心の不安を感じ取ったようなタイミング。いや実際感じ取ったのだろう。遠目からでも、奏の顔に浮かんだ躊躇いに戦いながらも目敏く気付いたのだ。

 最愛の女性が、何に対して不安を感じ躊躇しているかくらい分かる。分かるからこそ、その不安を取り除く為に声を掛けるのだ。

「唄え!」
「え……」
「奏の唄は何時だって俺に力をくれる! 奏の唄で俺は傷付かねぇ! だから何も不安に思うな、思う存分唄いたいように唄え! その唄が俺の力になる!!」

 それは奏にのみ効く魔法だった。先程まで奏の心に蔓延っていた不安は綺麗さっぱり無くなっていた。

「――――皆、悪い。待たせた――!」

 力強い目で翼達仲間を見て頷く奏。もう彼女の心に迷いはない。最愛の男性が、自分の唄を熱望してくれているのなら、それに応えてみせる。今の奏にあるのはその一心だった。

 奏に湧き上がった勇気は響達にも伝播した。奏に頷き返し、装者達は唄い出した

 それは、『始まりの歌』。

 全てのシンフォギア装者が唄い出す。




「何だあれは? あんなものまでシンフォギアにはあるのか? 奇跡の所業とでもいうつもりか……気に入らん」

 口調に不機嫌さを混ぜたワイズマンが、再度ネフィリムに火球を吐き出させた。

 先程の火球を防ぐので消耗し過ぎて、颯人と透は助けに向えない。だが、2人は微塵も心配していなかった。

「セット!ハーモニクス!!」

 火球が防御フィールドに叩き付けられる寸
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