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イベリス
第二十八話 またアルバイトに行ってその三

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 女性は帰り咲は仕事に戻った、そうして昼まで働き昼食を食べたが昼食の弁当を見て先輩がこう言った。
「健康的な感じね」
「そうですか」
「ええ、見たらね」
 それでというのだ。
「お握りに塩シャケにね」
「プチトマトに牛蒡に苺です」
「咲ちゃんが作ったの?」
「といっても昨日の夜の残りなんです」
 それだけだとだ、咲は正直に答えた。
「それをお弁当箱に入れただけです」
「お握りも?」
「お握りは握るだけなんで」
 それでというのだ。
「本当に簡単にです」
「握っただけなの」
「海苔は巻いてないですが」
 見ればそうである。
「何か今日はあまりです」
「するつもりがなかったのね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「そうしました」
「そうなのね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「作ったっていうか」
「そんなになの」
「ないと思います」
 こう話した。
「特に」
「いえ、お握りはね」
「それはですか」
「握っただけでもね」
 それだけでもというのだ。
「ちゃんとしたお料理よ、というか料理の基本でしょ」
「そうなんですか」
「だからね」
「このお弁当はですか」
「咲ちゃんが作ったって言っていいわ」
 そうだというのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「ええ、だからね」
 それでというのだ。
「そのことを覚えておいていいわ」
「そうなんですね」
「ええ、それで美味しい?」
 ここでこうもだ、先輩は咲に尋ねた。
「そのお弁当」
「はい、美味しいです」
 咲は先輩に笑顔で答えた。
「本当に」
「それは何よりね」
「私鮭が好きで」
 それでというのだ。
「それだけでもですが」
「他のものもなのね」
「トマトも好きで」
 プチトマトでもというのだ。
「牛蒡も苺も」
「牛蒡もなの」
「飲みものこはここにです」
 水筒も出してきた。
「緑茶を冷やして入れています」
「和風だから緑茶ね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうしました、お茶も好きで」
「お茶もいいわね」
「それでお茶は濃くしています」
「そうなの」
「はい、濃くしていますと」
 お茶をというのだ。
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