暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜二人目の犠牲者〜
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ップに挫けて上に行くのを諦めちゃったのに、凄いよね」
肩にかかる濃紺の髪をそっと払い、再び微笑む。
フルプレ装備のシュミットとは比較にならないが、今夜はヨルコも相当に着込んでいた。厚手のワンピースに革の胴衣を重ね、更に紫色のベルベットのチュニックを羽織って、肩にはショールまで掛けている。金属防具はなくとも、これだけ着込めばかなりの防御力が加算されているはずだ。
表面上は平静でも、やはり彼女も不安なのだろうか。
こちらは緊張を隠そうともしないシュミットが、がちゃっと鎧を鳴らして身を乗り出した。
「オレのことはどうでもいい!それより……、訊きたいのはカインズのことだ」
トーンを押し殺したものに変え、続ける。
「何で今更カインズが殺されるんだ!?あいつが……指輪を奪ったのか?GAのリーダーを殺したのはあいつだったのか!?」
GA、というのがGOLDEN APPLE、つまりギルド【黄金林檎】の略称であることはすぐに解った。
低い叫びを聞いたヨルコの表情が、初めて変わった。微笑を消し、正面からシュミットを睨み付ける。
「そんなわけない。私もカインズも、リーダーのことは本心から尊敬してたわ。指輪の売却に反対したのは、お金に変えてみんなで無駄遣いしちゃうよりも、ギルドの戦力として有効利用すべきだと思ったからよ。ほんとはリーダーだってそうしたかったはずだわ」
「それは……、オレだってそうだったさ。忘れるな、オレも売却には反対したんだ。だいたい……指輪を奪う動機があるのは、反対派だけじゃない。売却派の、つまりコルが欲しかった奴らの中にこそ、売り上げを独占したいと思った奴がいたかもしれないじゃないか!」
がつっ、とガントレットを嵌めた右手で膝を叩き、頭を抱え込む。
「なのに……、グリムロックはどうして今更カインズを………。売却に反対した三人を全員殺す気なのか?オレやお前も狙われてるのか!?」
怯えるシュミットに対して、再び平静さを取り戻したヨルコが、ぽつりと言葉を投げかけた。
「まだ、グリムロックがカインズを殺したと決まったわけじゃないわ。彼に槍を作ってもらった他のメンバーの仕業かもしれないし、もしかしたら………」
虚ろな視線を、ソファの前に置かれた低いテーブルに落とし、呟く。
「リーダー自身の復讐なのかもしれないじゃない?圏内で人を殺すなんて、普通のプレイヤーにできるわけないんだし」
「な……………」
ぱくぱくと口を動かし、シュミットは喘ぐ。そして微笑むヨルコを呆然と見やり、言った。
「だって、お前さっき、カインズが指輪を奪ったわけがないって………」
すぐには答えず、ヨルコは音もなく立ち上がると、一歩右に動いた。
両手を腰の後ろで握ると、こちらに
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