Mission
Mission3 テミス
(2) マンションフレール302号室
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「お邪魔するよ、ルドガー君」
客はビズリーとヴェルだった。分かっていたとはいえ、あの暴走列車からヴェルを連れて脱出したビズリーの実力には改めて背筋が凍る。ユリウスはこれを相手に何年もルドガーを隠し通してきたのかと思い致すと頭が下がる。
「ビズリーさん! 無事だったんですね」
「私は、な」
意味深な返し。
直後、天井からマフィア風のサングラス男が襲ってきた。ユティはとっさにエルを抱えて離れる。
ルドガーが胸部を蹴られて尻餅を突く。次いで男はジュードに襲いかかった。
「君は!?」
「驚いてる暇が――っ」
ジュードは男の腕を掴んで背中にねじり上げ、男を床に組み伏せた。武道家らしい無駄のない動き。
「――ある、ようだな」
「イバル……」
ジュードの知り合いらしい。彼についてはユティには情報がない。なので、とりあえず一枚撮っておいた。
「何撮ってるんだ!」
「知らない人だなあと思って」
「知らん人間なら誰でも写真に撮るのか貴様は!」
「撮らないよ。アナタは特別オモシロイ構図だったから」
イバルとのかけ合いを終わらせたのはビズリーの呵呵大笑。ビズリーには楽しいデモンストレーションだったようで、イバルはその場で雑務エージェントとして雇われた。
「何の真似ですか」
ジュードは胸を押さえて起き上がるルドガーをちらりと見やってから問う。声は剣呑さを隠してもいない。――ジュード・マティスは知り合ったばかりの赤の他人のために本気で怒っている。
「状況が分かっていないようだな」
ヴェルが進み出て、テレビのリモコンを点けた。テレビに出たのはアスコルド列車テロのニュース。
『当局はテロ首謀者として、クランスピア社社員、ユリウス・ウィル・クルスニクを全国に指名手しました』
ユティはエルの肩に回していた手につい圧をかけてしまった。
「イタッ…ユティ?」
「ごめん、エル。ちょっとしたエラー」
エルを痛がらせないようにと意識すると、今度は手がマナーモードのGHSみたく震えてくる。知っているのに、体験するとこうもダメージを被るのか。ユティは男性陣に悟られまいと、しゃがんでエルを支えるフリをして、エルの背で景色を遮った。
「警察は複数の共犯者がいると見て、関係各所を捜索中です」
「当然、君は最重要参考人だ」
「エルもルドガーも関係ないってば!」
「容疑者の弟が、事件の日に偶然同じ駅に勤め、列車に乗り込み、容疑者と一緒に消え去った。これを信じろと?」
「信じてよー!」
主張するエルの両手をユティは後ろから掴んで宥める。
相手はこの時代のエレンピオスの裏の権力者、覚えめでたいのは望ましくない。エルはビズリーたちが喉から手が出るほど欲し
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