バリーザウィッチの狙い
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生まれているはずと思って攻撃を仕掛けたのに、こいつはそれをいとも容易く受け止めてきやがった。
「今は私しか来ていないが、もし拒むのであれば他の者も連れてこの世界に攻めてくる。そうなったらバーンたちが言った通りの世界になるかもしれないぞ?」
「・・・お前もアポロっていうのの配下なのか?」
「いや・・・私は叡知の神・メーテス様の使い。アポロ神とは全く関係ないよ」
その回答を受けたシリルの顔は険しいものへとなっていた。そんな彼は何を思ったのか、気付かれないよう少しずつ窓側へと移動していくため、俺もその隣に付くように移動する。
「じゃあお前が引いたところで、アースランドが危ういことには変わらないじゃないか」
「それはどうかな?もし君が付いてきてくれるなら、メーテス様が他の神を説得してもよいと話している」
「できるのか?そんなことが」
「できるよ。もっとも、君が付いてきてくれるなら、ではあるが」
バリーザウィッチの言葉に不思議そうな顔をし、シリルは足を止める。先ほどから全く話についていけてはいないが、この二人が何かしらの取り引きをしているのは容易に見当がついた。
「俺がついていくとなんで説得できるんだよ」
「簡単だよ、君なら私たちを縛り付ける法が適用されないからさ」
「??」
彼の言葉の意味がわからなかったようでシリルがこちらを見るが、そもそも何の話をしているかもわからない俺は首を傾げてみせることしかできない。
「私たち天使は他の世界の天使と戦うことはできない。だが、君にはそれが適用されないんだ」
「え?そんなわけ・・・」
「バーンたちは知らなかったようだがね。天使同士の戦いは天界の崩壊・・・つまり世界の崩壊を意味してしまう。神同士が戦うことも同様だ。だが、君は天使の子であって天使ではない。ましてや君の母は天界を追放され配置的には人間扱いになっている。つまり君は天使にダメージを与えられる数少ない人間と考えることができるんだ」
バリーザウィッチの説明に納得したような表情を見せるシリル。完全に蚊帳の外になっているが、話しているバリーザウィッチに隙がまるでないため、迂闊に動くことができない。
「それともう一つ大事なことを言っておこう。君は天使と戦っても問題はない・・・それはつまり、私が君に危害を加えても問題がないということと同義と捉えてもらっていい」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間に、シリルの表情と雰囲気が一変したのがわかった。下を向いてしばし沈黙したシリル。彼は小さく息を吐くと、こちらに視線を向ける。その左目は黒く変色しており、目が合った俺は思わず身体が震えた。
「なるほど・・・わかりました」
そう言ったシリルはあろうことか、俺を窓の外へと突き飛ばした。
「え・・
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