バリーザウィッチの狙い
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手の挑発に乗ってしまう。
「ちょっと!?ユウキさん!!」
動いた瞬間に何かが起きてもおかしくないのに、そんなことなど考えてもいないのか、目の前の敵に向かって突っ込むユウキさん。
「はぁ!!」
彼は魔法を使えない。ただ、魔力を纏わせた剣を準備していたため、それを大きく振りかざし攻撃に出る。
しかし、バリーザウィッチはそれを難なく回避した。
「くっ!!」
交わされたユウキさんは着地と同時にすぐに切り返すと、再び彼へと向かっていく。それに対し、バリーザウィッチは反撃をするでもなく、ひたすらに回避し続けていた。
それを見て俺の頭の中には再び大量の疑問符が浮かび上がっていた。
(まさかここまで誘い込んでおいで本当に何の罠もなし?そんなことがありえるのか?)
東洋のお城のような形をしているこの場所は外の景色を見える窓も大きく、さらには床はフィオーレでは見たことがない畳を使っている。仕掛けようと思えばいくらでも罠を仕掛けられるのに、それを使わないなんてことがあるのか?
(もし何もないと仮定するなら・・・)
敵はユウキさんに気を取られていたこちらに背を向けている状態。本当に何もないのなら、このチャンスを逃す手はない。
俺はユウキさんに意識が向いているであろうバリーザウィッチに向かって突進する。なるべき静かに、ただ、最速で到達するように加速し、間合いに入ったと思った瞬間・・・
「悪いが、君の攻撃は受けられないんだ」
その言葉と同時に、俺の踏んだ畳から無数の矢が突き出してきた。
「なっ・・・」
まるで俺が突っ込んでくるのがわかっていた・・・いや、そうなるようにと仕向けたのではないかと思うくらいの罠の発動に痛みと驚きを覚える。
身体中に矢が突き刺さったため、痛みでふらつきながら横に倒れそうになると・・・
バンッ
「!?」
今度は俺の身体が向かう畳が開き、下の階へと落ちそうになる。
「とと・・・」
激痛に耐えながら落ちないように堪え、突き刺さった矢を抜きながら二人の方へと視線を向ける。その間もユウキさんは果敢に攻撃を仕掛けてはいたのだが・・・
「ぐっ!!」
その一撃は一つも入ることなく、それどころかバリーザウィッチのたった一度の攻撃がその頬を捉えていた。
「なんだ・・・重てぇ・・・」
たった一度の攻撃だったにも関わらず、ユウキさんは壁に激突するほどの勢いで飛ばされていた。彼も無事ではあるようだが、その力を見ただけで相手がどれだけ強いのかを感じさせるには十分だった。
「生死の神・アンクセラムの使い・ヨザイネ」
「!!」
こちらに背を向けたままのバリーザウィッチが突然発した名前に目を見開く。母である彼女の名前を知っているって・
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