第二百十八話 北京からその六
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「攻める賊は百人です」
「多いな」
「いえいえ、ご主人のお力なら」
それならというのだ。
「もうです」
「何でもないか」
「はい」
こう言うのだった。
「お一人で」
「百人倒せるか」
「それも一瞬で」
「そやねんな」
「その青龍偃月刀を使われるか」
「七蛟鋏やな」
「術でもです」
これもというのだ。
「使われますと」
「簡単にか」
「勝てます」
「そうか、この賊共は賊は賊でもさして悪い連中やないな」
「ヤクザ者位ですね、盗みはしますが」
それでもとだ、麒麟は自身が乗せている主に答えた。鞍と鐙と手綱があるのは馬のそれと同じである。ただし羅は手綱に手をやっていない。
「しかし人を好んで殺すことはです」
「せんか」
「人を襲うことも」
それもというのだ。
「盗むだけで」
「そこまで悪い連中やないか」
「左様です」
「ほなな」
それならとだ、羅は麒麟の言葉に頷いてだった。
賊達に睡眠の術をかけた、すると。
百人いた賊達は全員眠った、彼はそれを見て兵達に告げた。
「ほなこの簾中をな」
「捕らえてですね」
「連行しますね」
「そうしますね」
「特に悪い連中でもないし処罰を加えてな」
そうしてというのだ。
「その後で兵に入れるで」
「そうしますか」
「この簾中も」
「兵にしてですか」
「そのうえで、ですか」
「働いてもらう、元はならず者でも」
それでもというのだ。
「厳しい軍律と訓練で鍛えなおしてな」
「そうしてですね」
「強い兵にして」
「そうしてですね」
「戦ってくで」
こう言ってだった。
彼は賊達を連行し取り調べを行いその罪に応じて刑罰を与えた、だがそれが終わるとすぐに兵に入れてだった。
軍律と訓練で鍛え上げていった、それを他の賊達にもしていってだった。
多くの兵を擁する様になった、そして統治機構も整ってきて彼は北京とその周辺のかなりの部分を掌握する様になった。
だがここでだ、市長が羅に話した。
「もう一人星の方がです」
「おるか」
「この河北省に」
「そうなんやな」
「名を魯舎様といわれるとか」
「何やあいつか」
羅は彼の名前を聞いてすぐに言った。
「知ってる奴や」
「そうなのですか」
「あっちの世界やとな」
「それでは」
「話が出来るかも知れん」
こう市長に話した。
「あくまであいつがあっちの世界と大して変わらん場合やけどな」
「それならですね」
「話も出来る」
その彼と、というのだ。
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