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夢幻水滸伝
第二百十八話 北京からその三

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「それも神星やからな」
「神星の方ですか」
「星の方の中で最も格が上であられる」
「この世界を救って下さるという星の方の中でも」
「特に強いという」
「ああ、そうらしいな」
 羅は麒麟に乗りつつ応えた。
「我は。それで市長さんにお会いしたいが」
「あの、会われてです」
「どうされるおつもりですか」
「星の方なので無体はされないことはわかっていますが」
「それでも」
「話をしたい」
 羅は笑って答えた。
「そうしたいんや」
「左様ですか」
「それでこちらに来られました」
「それではです」
「中の者にお話させて頂きます」
「ほなな」
 羅は門番達の言葉に頷いた、そうしてだった。
 市長の部屋まで案内された、市長は初老のゴブリンの男だった、辮髪はしていないが清代の高官の服を着ている。その彼もだった。
 羅を見ると驚いて言った。
「お話は聞いていましたが」
「それでもかいな」
「違いますね」
 並の者とは、というのだ。
「まさに関菩薩です」
「そう言ってくれて何よりや」
「はい、それでここに来られた理由は」
「この世界を救う為にまずはこの北京を拠点にしたい」
 羅は市長に単刀直入に言った。
「そう思ってな」
「来られたのですか」
「そや」 
 まさにといのだ。
「それで来たんや」
「左様ですか」
「ただ行政機関はそのままにしたいんで」
 羅は市長にさらに話した、最初彼は座っている市長の前に立って話していたが今は向かい合って座って話をしている。
「市長さんはそのままな」
「この街の市長としてですか」
「働いてもらいたい、ただまずは中国全土の統一を考えてる」
「この北京を拠点としてですね」
「そや」
 まさにというのだ。
「そう考えてる、そやからな」
「兵とですね」
「行政組織が欲しい」
 この二つがというのだ。
「それでや」
「この度ですか」
「ここに来たんや」
「ただ北京を拠点とされるだけでなく」
「さらにや」
 それに加えてというのだ。
「そうしたいんや」
「そこまでお考えですか」
「実はここに来るまでにこいつに教えてもらった」
「どうもです」
 屋敷に入る時に降りて姿を消させた麒麟がここで主の横に出て来て応えた、口調は今も明るいものだ。
「私がご主人にお話しました」
「麒麟、これ程の霊獣もですか」
「我の神具やで」
「それは素晴らしい、それでなのですか」
「そや、これからな」
「兵とですね」
「行政組織が欲しいが」
「わかりました、では北京の兵達はです」
 市長は羅に畏まって答えた。
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