第二十七話 旅行に行かなくてもその十二
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「心配よ」
「戸締りちゃんとしていたら」
「それでも心配なのよ」
「心配し過ぎでしょ」
「年頃の女の子が一人なんて」
そう思うとそれだけでだった、母としては娘が心配で仕方ないのだ。
「怖いわ、どうしたものかしら」
「それじゃあ一人暮らし出来ないわよ」
「大学に入ってからとか?」
「そうでしょ」
「高校生と大学生は別よ、大学生だったらまだいいけれど」
「高校生だとなの」
「心配よ」
「そんなに言うんだったらお姉ちゃんがいるじゃない」
愛がというのだ。
「だからね」
「愛ちゃんね」
「私がお姉ちゃんのとこに行くわ、モコ連れて」
「そうするの」
「そうするから」
「それか愛ちゃんに来てもらうか」
「どっちかにすればいいじゃない」
咲の返答はあっさりとしたものだった。
「だからね」
「心配しなくていいのね」
「そうでしょ」
こう母に話した。
「別に」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「そうしたことは気にしないで」
「それでなのね」
「夏休みは旅行に行ってきてね」
「箱根に」
「そうしてね」
「それじゃあね、しかし肩が本当にね」
母は肩を動かしながら笑顔で話した。
「驚く位楽になったわ」
「そんなによくなったのね」
「まだ肩凝りはあるけれど」
それでもというのだ。
「この通りね」
「かなりよくなったのね」
「だからまたここに来るしお家でもお風呂にじっくり入るわね」
「あったまって冷やして」
「それを繰り返していくわ」
母は娘に笑顔で話した、そうして二人で家に帰るが母はそれから肩凝りに悩まされることがかなり減った。また咲もじっくり風呂に入る様になった。
第二十七話 完
2021・8・15
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