第一章
[2]次話
牧師館のドールハウス
八条薬品で経理部長をしている吉田由香奈の趣味は人形集めである、それは彼女の夫も娘達も知っていていて理解してくれている。
仕事ではやり手だが趣味は少女趣味でありそれは身の回りのものや得意料理にも出ている。可愛いものが好きでかつ料理もお菓子が一番得意だ。
黒髪をロングにしており色白で狐目だが穏やかで気品のある顔立ちだ。背は一六〇位で胸がかなりある。
その彼女がある日ネットオークションであるドールハウスを見た、そのドールハウスは。
「イギリスのかい」
「ええ、十九世紀のね」
由香奈は夫の友和に話した、夫は背は一七六程で黒髪の左右と後ろを短くしていて上の部分を左で七三分に分けている、きりっとした目鼻立ちで色白である。顔も身体も肉がついてきている。
「その頃のね」
「本場のものだね」
「そうなの、しかもこれがね」
妻は夫にさらに話した。
「随分安いのよ」
「そんなにかい」
「物凄い年代もので人形もかなりあって」
それでというのだ。
「ハウスもどのお人形もかなりのの出来で」
「それで今の値段はどれ位かな」
「二万なのよ」
「二万?」
「骨董品それも芸術品みたいなのに」
それでもというのだ。
「値段はね」
「二万なのかい」
「ええ、そうなの」
こう夫に話した。
「これがね、ここまでだと何百万でもおかしくないのに」
「奥さん人形集めていてわかるからね」
「人形の価値もドールハウスのそれもね」
「その奥さんが思うに」
「それがね」
信じられないことに、そうした言葉だった。
「二万円よ、百分の一かもっとね」
「安いんだ」
「そうなの」
これがというのだ。
「どうもね」
「それでなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「不思議よ、けれど二万で手に入るなら」
「買うんだね」
「そうするわ、オークションだからもっと高くなると思うけれど」
「落札するね」
「そうするわ」
こう言ってだった。
由香奈はオークションに参加した、ドールハウスと人形達はオークションの中で倍まで値段が上がったがそれでもだった。
由香奈は四万円で落札した、そしてドールハウスごと家に迎え入れたが。
「ワンワンワン!!」
「どうしたの、シナモン」
家族である茶と白の雄の柴犬がだった。
家に来たドールハウスが入った箱を見て吠えだした、これには由香奈も驚いた。
「この子がこんなに吠えるなんて」
「吠えない子なのに」
夫も驚いていた。
「その子がこんなに吠えるなんてはじめてだよ」
「どうしたの、シナモン」
「ガルル」
今度は唸りだしていた。
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