第一章
[2]次話
チャーチルと日本
この時イギリスの首相ウィンストン=チャーチルは周りの者達に笑って言っていた。
「後はだ」
「はい、日本の出方ですね」
「それ次第ですね」
「こちらは要求を出した」
「それにどう言ってくるか」
「我ながらかなり吹っ掛けた」
チャーチルは笑ったまま言った、その手には葉巻がある。
「あれだけ吹っ掛けるとな」
「日本も黙っていませんね」
「それで反論してきますね」
「それは飲めないと」
「それに対してどうか」
「首相の腕の見せどころですね」
「やってやろう、吹っ掛けた分は飲まないのはわかっている」
出したその要求をそのままというのだ。
「それをどう差し引いた分を受け入れさせるか」
「それですね」
「さて、日本はどうしてくるか」
「それ次第で、ですね」
「こちらもやっていきますね」
「そうだ、日本はどうしてくるか見よう」
チャーチルは余裕を以て述べた、だが。
暫くしてだ、彼は報告を持って来た外務省の高官に驚いて言った。
「あの要求を全部か」
「はい、日本はです」
その高官も驚きを隠せない顔だった。
「全てです」
「飲んだか」
「わかりましたと笑顔で言って」
「信じられないな」
チャーチルは戸惑いを隠せない顔で述べた。
「国益はもたらされたが」
「それでもですね」
「反論に反論に応じてだ」
「相手を捻じ伏せてこそですね」
「政治家だ、そして政治だ」
こう言うのだった。
「無論妥協点も見出してな」
「そうしてですね」
「こちらの要求が全部受け入れられることはな」
それはというのだ。
「やはりな」
「ないものです」
「幾ら交渉をしてもな、だが」
「こちらの要求も交渉なしに飲むとは」
「こんなことははじめてだ」
遂に首相の席で首を傾げさせた。
「だがな」
「はい、これでですね」
「いいとしよう、だが次はな」
チャーチルは考える顔で言った。
「もうこれは幾ら何でも飲めないだろう」
「そうしたですね」
「無理難題をな」
そのレベルの要求をというのだ。
「言ってみよう」
「そうしますか」
「そうしよう、それで交渉でな」
「利益を得ますね」
「妥協点も見出してな」
無論それでイギリスに国益をもたらすものであるのは言うまでもない。
「そうしていこう」
「それでは」
高官も頷いた、こうしてだった。
チャーチルは幾ら何でも日本も到底受け入れられないという要求を突き付けた、この時彼は流石にという顔だった。
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