第二章
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「この度はです」
「そうすることがいいとですか」
「思ったので」
それでというのだ。
「共にそうさせて頂きました」
「そうですか、それは何よりです」
「はい、では」
「あらためてですね」
「先に進みましょう、少し行けば村に出るので」
「そこで、ですね」
「食事を摂り宿もです」
それもというのだ。
「取りましょう」
「それでは」
「はい、そうしましょう」
こう言ってだった。
芭蕉は曾良を連れて森に出た、そしてだった。
森を出るとそこに村があった、村には蕎麦屋があった、その蕎麦屋で普通の蕎麦だけでなく蕎麦がきもだった。
注文して共に食べた、ここで曾良は芭蕉に尋ねた。
「先程のことですか」
「森で念仏を唱えたことですね」
芭蕉も応えた。
「そしてそれが終わりますと」
「梟は鳴き止みましたが」
「あれはたたりもっけです」
「たたりもっけ?」
「あやかしというか幽霊ですね」
「それになりますか」
「はい、よくある話でこの奥羽では特に」
ここでだ、芭蕉は。
蕎麦を食べながらも悲しい顔になって目を閉じてやや俯いてだった、そのうえで曾良に対して話した。
「産まれても育てられず」
「ああ、赤子をですか」
「そうしたことがありますね」
「間引きですね」
「見て下さい」
芭蕉は曾良に店の中を見る様にも言った。
「こけしがありますね」
「この辺りには多くありますね」
「はい、こけしはです」
木の人形、棒の様なものの上に子供の顔があるそれはというのだ。見れば棒の部分に福も描かれている。
「よくありますね」
「こけしは子消しともいいます」
「子消しですか」
「そうです、子消しはそうした子や産まれてすぐに亡くなった子供のです」
「供養ですね」
「そうしたものであり」
それでというのだ。
「そしてです」
「そのたたりもっけもですか」
「そうされた子供のです」
「産まれてすぐにですね」
「顔に濡れた布をやれば」
産まれてすぐの子にだ。
「それで、ですね」
「簡単にですね」
「はい、そうなって」
簡単に間引かれてというのだ。
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