第三章
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「大変やさかい」
「それでやな」
「そやねん、もうお昼も夜も」
「飯の種があれば」
「やっていかんとあかんさかい」
「それでやな」
「そうやってこ」
こう夫に言った。
「これからは」
「わかった、まずは飯を食って」
「おうどんの材料も買う」
「そうしていこな」
こう話してだった。
夫婦は夜に大阪城の方に行った、すると。
鉄くずがこれでもかとあった、明日川はその鉄くず達を見て妻に言った。
「これをやな」
「そや、持って行ってな」
「それで売るんやな」
「売る場所はもうあるし」
「そこで売ってやな」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「お金儲けるねん」
「それと米と交換もか」
「してるねん、ほなな」
妻は手に金槌やらを出して言った。
「警察に気をつけて」
「ああ、かっぱらいになるか」
「実は。他にもやってる人おるけどな」
「捕まらん様にしてか」
「稼ごうな」
「犯罪してでも食うていかなあかんか」
明日川も道具を出して言った、妻に持たされたものだ。
「今は」
「人様のもん盗む訳でも人殺しでもないで」
「それやとか」
「しゃあないやろ」
今はとだ、妻も話した。
「そやさかい」
「ここはか」
「そや、ここは」
本当にと言うのあった。
「こうするしかないわ」
「そうなんやな」
「おうどん屋さん再開する為にも」
是非にと言うのだった。
「頼むで」
「ほなな」
こう話してだった。
二人で鉄くずを手に入れていった、だが。
その間周りにも鉄くずを手に入れている者達がいた、妻は必死に鉄くずを手に入れながらそのうえで明日川に話した。
「周りは気をつけて」
「警官が来るとか」
「急いで逃げるで」
「かっぱりやからやな」
「そやねん、ただ今も警察も人おらんから」
「復員してる最中やな」
「あんたと一緒でな」
戦争に出ていた者が戻っている最中でというのだ。
「人おらんし警察の中もごたごたしてるらしい」
「日本全体がそやな」
「そうやさかいな」
その為にというのだ。
「警察もそんなんや」
「そやねんな」
「そやから今のところはあまり来んわ、ただ来たら」
「逃げるんやな」
「鉄くず持って、ほな」
そうしてというのだ。
「兎に角今は」
「鉄くず集めるんやな」
「そうしていこ」
こう言ってだった。
妻が夫に教えて鉄くずを集めた、持てるだけ持つと夜の闇に紛れて家に帰った。そうして次の日だった。
その鉄くずを店で売って交換もしてだった。
金と米他の食べものや調味料も手に入れた、咲子は昼飯の闇市の横流しで作った粥を食べつつ言った。
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