第一章
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変なおじさん
戦争が終わって十年以上経った。
川崎市に住む小学二年生山口幹弘は学校から帰る時に下校前のホームルームで先生に変なおじさんが出るから注意しろを言われた。
そう言われてだ、彼は近所に住む仲良しの豊田幾多郎に下校中に言った。幹弘は刈り上げ頭で目が円い。幾多郎は丸坊主で太い眉だ。二人共背は同じ位で体格も普通だ。二人共いつもの帰り道をランドセルを背負って歩いていた。
「変なおじさんって何かな」
「あれじゃない?裸とか」
幾多郎は笑って話した。
「もう丸出しで」
「ああ、下の方を」
「そうじゃない?それか道でさ」
幾多郎は踏ん張った仕草を入れてもみせた。
「こうして」
「それも変だね」
「それか変な踊り踊ってるとか」
「そういうの確かに変だね」
「そんなおじさんだよ」
「あはは、そんなおじさんいないよね」
幹弘は幾多郎のその言葉に笑って返した。
「絶対に」
「そうだよね」
幾多郎もこう返した。
「そんな変な人」
「そうだよね」
「若しそんな人いたら」
それこそというのだ。
「実際変なおじさんだよ」
「絶対にいないよ」
「本当にね」
「そうだよね」
「気を付けろっていっても」
それでもというのだ。
「そんな人いないよ」
「この街にはね」
二人でこんなことを笑いながら話しつつそれぞれの家に帰ろうとしていた、そろそろ幾多郎の家の近くに来たところで。
二人が曲がり角を曲がるとだった。
そこに何と。
「えっ、何このおじさん」
「服全然着ていないよ」
何と四十位の痩せた無精髭を生やした男が道の端にいた、だがその男は。
全裸でしかもかがんでいた、そして。
「うわ、出してるよ」
「道で」
「今僕達が言ったままじゃないか」
「よくこんなことするね」
「しかも拭かないし」
「何このおじさん」
「おいお前!」
男は思いきり顔を顰めさせた二人ではなく。
電柱、木製でボタンを点けて灯りを点けるそれの上にいる烏を指差して叫んだ、よく見れば肌はボロボロで目も血走っている。全身生々しい傷跡がある。
「お前今何言った!」
「えっ、烏に文句言ってるよ」
「今度は何?」
「烏が喋るとか」
「漫画じゃないんだから」
「誰に言われて俺を殺しに来た!」
烏を指差して見上げて叫んでいた。
「俺の目は誤魔化せないぞ!」
「絶対おかしいよこの人」
「そうだよね」
「これが変なおじさん?」
「まさかと思うけれど」
「わかっているんだからな」
男はさらに言っていた、幹弘達は目に入っていなかった。
「何を企んでも。誰が裏にいるかもな」
「烏にそんなこと言うとか」
「この人どうかしてるよ」
二人共唖然となった、
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