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おっちょこちょいのかよちゃん
172 統一と死の思想の組織
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 こちら剣奪還班。徳林奏子の持つ羽衣で戦争主義の世界の本部へと移動している最中であった。三河口は以前よりもかなり激しい胸騒ぎおよび不審な音や恐怖を感じるようなにおいを感じていた。見聞の能力は見たり聞いたりのみではなく心の中の予感やにおいでも敵が近いかどうかを察知する事ができているのである。
「全く、ものすごう恐ろしい気持ちが収まらんじゃけんなあ」
 三河口と同様かそれ以上の強力な見聞の能力の持ち主である鯉沢も非常に気にしていた。
「見聞の能力(ちから)を持ってる人、皆そうなの?」
 三河口の従姉・祝津ゆりは確認した。彼女は武装の能力(ちから)を持っているが、見聞の能力(ちから)は持っていない。
「はい」
 濃藤や北勢田、マリエルや光江も同意見だった。
「くう〜、吐き気がするくらいやな」
「マジで吐くなよ」
 鯉沢に対して湘木が冗談交じりに言った。
「ああ、でも、ここにいるとめっちゃ気分悪うなるな」
「それだけ敵の本拠地に近づいてるって事だろうな」
「じゃがのう、うちらを狙ってくる奴等がすぐそばにおるんや」
「ああ、俺もそんな気がしたよ」
 三河口は鯉沢の意見に共感した。
「つまり、今、どこかにその敵がいるって事ね」
 ゆりは判断した。
「奏子ちゃん、皆を降ろして」
「え?あ、はい」
 奏子は羽衣を降下させた。皆が降りる。
「いたよ」
 政美がマフラーに備わる能力の一つである探知能力を利用して確認した。
「どこじゃ?」
「あの森の方だよ」
 その時、政美が指した方角から銃声が聞こえた。三河口達を襲うと分かっていたのか見聞と武装の能力を発動させ、更に奏子の羽衣が巨大化して防いだ為に皆無傷だったが。
「こっちもぶっ放すか!」
 鯉沢が銃を出して発砲した。火薬が一発飛んだがそれだけで木々が粉砕され、焼き尽くした。敵が複数人現れた。
「貴方達、何者なの?」
「俺達かあ?この世の統一を目指す黒手組だ!」
 集団の中の一名が答えた。
「クロテグミ?」
「我々が目指すのはこの世の統一、それに逆らう者は死、それがモットー。貴様らのうちに丁度我が仲間を殺害した者がいるな?ガヴリロとネジョの敵、そこの娘二人、お前らは必ずここで死んでもらう!」
 光江はガヴリロの名を聞いて思い出した。神戸で護符を捜しに訪れ、街を荒らした者の名であったからである。その際は返り討ちにし、ガヴリロは死亡したが。
「ねじょ?誰やったっけ?」
「ヒロシマとかいう所へ派遣させて貴様に殺された奴だ!」
「ああ、あのクソ野郎じゃったか」
 鯉沢は12月に自身に起きた事を回想した。

 冬の広島。鯉沢は下校中に駅前のバスロータリーで煙草をふかしていた(本来未成年の為喫煙は禁止であるが)。その時、異様な感じを覚えた。
(この気・・・!!あの
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