第二十七話 旅行に行かなくてもその一
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第二十七話 旅行に行かなくても
この日はアルバイトも部活もなくかつ愛とも友人とも予定がなかった、それで咲は朝遅くに起きてだった。
そのうえでゲームをしたり漫画やライトノベルを読もうと思っていたが朝食のお茶漬けを食べた時に母に言われた。
「あんた旅行は行かないのね」
「そんなお金まだないからね」
咲は母にあっさりとした口調で答えた、黒髪は今はぼさぼさで化粧もしておらず服装は上下共緑のジャージ姿である。
「行かないわ」
「そうなのね」
「あと家族旅行もね」
「夏箱根に行こうってお父さんとお話してるけれど」
「じゃあ行ってきて、私アルバイトと部活あるから」
「そっちで忙しいからなの」
「夫婦水いらずでね」
お茶漬けをさらさらと食べつつ話した。
「それでね」
「行って来いっていうのね」
「ええ、そうしてね」
こう言うのだった。
「私は私でお金が出来たらね」
「行って来るのね」
「山梨にでも行って来るわ」
「何で山梨なの?」
「丁度漫画の舞台になってるから」
読んでいるそれのというのだ。
「だからね」
「山梨なの」
「あと岐阜も」
こちらもというのだ。
「行けたらね」
「行きたいの」
「岐阜って結構漫画とかライトノベルの舞台になってるから」
「それは初耳よ」
「そうなの。けれどどういう訳かね」
お茶漬けの中の梅干しを食べつつ話した。
「岐阜ってそうなってるから」
「行きたいの」
「あと京都とか奈良もね」
「関東にいると行かないわね、どっちも」
「だからね」
それでというのだ。
「京都とか奈良もね」
「行きたいのね、旅行はしなさい」
母は娘に微笑んで話した。
「いい経験になるから」
「人生の」
「可愛い子には旅をさせろっていうけれど」
「行ってきていいのね」
「ええ、ただ安全な場所よ」
「危ない場所は駄目ね」
「あんたがよく読む漫画のね」
朝のドラマを観つつ娘に話した。
「核戦争の後の世界とか大地震の後の関東には行かないことよ」
「魔界都市になってる新宿も?」
「何処も行きたくないでしょ、あんたも」
「絶対に死ぬわ」
咲もこう答えた。
「もう無茶苦茶だから」
「そうでしょ」
「モヒカンとか鎧武者がバイクやお馬さんに乗って走り回っていてね」
そうしてというのだ。
「やりたい放題だから」
「だったらね」
「行かないことなのね」
「新宿は只でさえ色々あるわね」
「あそこはね」
歌舞伎町の話を思い出して応えた。
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