第四章
[8]前話
「巨人をご覧なさい」
「あの補強ばかりのチームか」
「巨人は人を大事にしていますか?」
「そう見えたらおかしいだろ」
森田はややじと目になって即答で答えた。
「あそこは」
「左様ですね」
「補強ばかりでな」
巨人と言えばそれだ、最早他チームから選手を掠め取ることしか考えていない。これが自称球界の盟主とやらの実態だ。
「育成なんてな」
「考えていませんね」
「それで補強してもな」
「その時だけチヤホヤして」
「衰えたらポイ、だな」
「監督なぞです」
巨人のそれはというのだ。
「生え抜きのスター選手だけですね」
「他の人はなれねえな」
「選手を差別し育てず」
「数年でポイだとな」
「大事にしているなぞ」
それこそというのだ。
「誰も思いません」
「そうだよな」
「あれもブラックです」
巨人もというのだ。
「人を大事にしないので」
「過剰労働や安月給も問題でか」
「ブラックとは何か」
遠近はその定義から述べた。
「それは人を粗末に扱うということです」
「それで人を粗末にする企業なんてか」
「すぐにです」
それこそというのだ。
「駄目になります」
「そういうことだな」
「そしてやがては傾くか倒産しますので」
「最初から入らないことか」
「ですから事前に調べて」
入りたい企業がどういった企業かだ。
「入社試験や面接を受けるべきです」
「履歴書も出すべきか」
「左様です、そうしたことが出来たからこそです」
「俺はいい企業に入られたんだな」
「そういうことです、ではお互いに頑張っていきましょう」
遠近は森田に微笑んで述べた、そうしてだった。
共に大学を卒業すると同時に就職した、二人共良好な条件の職場で心地よく働くことが出来た。そのうえで勤労の喜びを知ることが出来たのだった。
いい企業と思ったら 完
2021・10・29
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