第一章
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いい企業と思ったら
森田慎吾は大学四回生になっていた、三回生の頃から就職活動をしていてそれで今もこれはという就職先を探していた。
「本当に何処がいいかな」
「入社出来たらというのは駄目ですよ」
森田に既に八条不動産という企業への就職を決めている遠近信康が言ってきた、細面で嫌味そうだが知的な顔立ちで黒髪をセットにしている。細い縁の眼鏡がより知的な印象を醸し出していて背は一七五程ですらりとしたスタイルだ。
「それは」
「それだよな」
森田もこう返した、背は一七四程で鋭くやや険な感じの目で黒髪を刈り上げにしたマッシュルームカットにしている。身体は程よく痩せている。
「俺飲食業界に行きたいけれどな」
「飲食は余計にですよ」
「ブラック多いよな」
「はい、正社員でもアルバイトでもです」
「店長になってもな」
「過酷な労働条件の企業があります」
「そうだよな」
「私は建設業界の就職も考えましたが」
遠近は自分のことも話した。
「こちらもです」
「ブラックあるか」
「はい」
そうだというのだ。
「一日二十時間の労働の企業もあるとか」
「それブラック過ぎるだろ」
「某巨大掲示板であったお話です」
「働いていた人大丈夫だったか」
「退職して新たな人生を歩まれたとか」
「そのままだと死んでたな」
森田はその話を聞いて真顔で述べた。
「確実に」
「左様ですね」
「絶対にすぐに過労死してただろ」
「事実身体がかなり悪くなっていたとか」
「そうだろうな」
「そしてです」
遠近はさらに話した。
「そうした企業は過労死してもです」
「何もしないよな」
「そうしたものです」
「ブラック企業はそうか」
「身体を壊すのは自己責任です」
その論理で押し通してくるというのだ。
「そうしてです、労災もです」
「出さないか」
「ですから辞めないとです」
そうしないと、というのだ。
「死んでしまいます」
「再就職辛いって考えて残る人いるな」
「それでも命あっての物種ですよ」
遠近はその現実を指摘した。
「ですから」
「よくないか」
「再就職も実は宗教関係なら」
「何とかなるか」
「何の為に宗教が存在しますか」
眼鏡の目と目の間に右の人差し指をやってだった、遠近は述べた。
「一体」
「信仰だよな」
「人の心を救う為ですね」
「やっぱりそうだよな」
「そしてそちらのお仕事もあります」
「お寺の住職さんとかか」
「はい、そうしたものになる道もありますので」
仕事もあるというのだ。
「再就職もです」
「あれだな、ネカフェ難民にならなくても」
「助かる道はあるのです」
「ですからブラック企業はです」
「警戒することか」
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