第二章
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「わしの言うことを聞いてくれるけれど」
「ここに来る時はですか」
「せっかちな娘でわしがのんびりしている時に先にここに行くバスに乗ったのがはじまりで」
それでというのだ。
「それから毎日あの娘が先にね」
「ここに来ていますか」
「幸い誰にも吠えたり噛んだり暴れたりする様な娘じゃないから」
そうした性格でというのだ。
「ああしてね」
「好きにですか」
「させているんだ」
「バスに乗ってもらっていますか」
「それで今では街の名物犬になっていて」
「毎日ですか」
「大人しく礼儀正しくね」
そうしてというのだ。
「バスに乗っているよ」
「そうですか」
「ああして礼儀正しくね」
「それはいいことですね」
「うん、いつも帰る時は一緒だよ」
ヤングは芽衣に話した、そうしてだった。
このことは芽衣にとってアメリカで目にした貴重なことの一つになった、そして日本に帰ってだった。
一年程日本で働いたが今度はイスタンプールに行った、そこで今度は。
カンガルードッグとアナトリアンシェパードのハーフで白く大きな身体を持ち華と目の周りそれに折れた耳が黒い犬をフェリーの中で観た、大人しく座っているその犬を見てだ。
シアトルのことを思い出した、それで今回のビジネスパートナーであるシャハラ=バトゥータに話した。黒く長い髪の毛とはっきりした大きなきらきらとした黒い目に彫のある顔立ちと浅黒い肌の長身でスタイルのいい女性だ。スーツも似合っている。
「あの子は」
「あの犬ですね」
「何でフェリーに」
「あの子はポジといいます」
シャハラは芽衣に答えた。
「イスタンプールの保護犬です」
「そうですか」
「シアトルのお話は聞きました」
芽衣はシャハラにもそうしていた、それで彼女も知っているのだ。
「実はお話を聞いてポジのことを思い出しました」
「そうでしたか」
「ポジも同じで。保護犬なので」
「飼い主はいないですね」
「はい、ですが大事にされていまして」
「街の人達に」
「それで街中をいつも旅して暮らしていますが」
それでもというのだ。
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