第一章
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カンガルーの救助
オーストラリアのキャンベラに住んでいるニック=クローザー大柄で筋肉質の身体で薄茶色の髪と濃い青の目で赤ら顔の彼はこの時日課のランニングに興じていた。
だがその時に湖の浅瀬の傍を走っているとだった。
「何だあれ」
「カンガルーか!?」
丁度傍を散歩していた黒髪に黒い髭と黒い目のクローザーと比べるとやや背が低いがやはり筋肉質な男もそれを見て言った。
「カンガルーが泳いでいるのか」
「カンガルーって泳げたのか」
クローザーはまずこのことに驚いていた。
「そうだったのか」
「ああ、そうなんだよ」
黒髪の男は丁度クローザーの前にいた、それで彼に答えた。
「カンガルーはな」
「そうだったのか」
「ああ、ただあのカンガルーおかしいな」
男はこうも言った。
「泳いでるにしては」
「そういえばそうだな」
クローザーも言われてあらためてカンガルーを見て述べた、
「浮かんだり沈んだりしているな」
「カンガルーは泳ぎが上手だがな」
「泳げるだけじゃないか」
「あのカンガルーは溺れているみたいだな」
「おい、それは大変だぞ」
クローザーは溺れていると聞いて眉を顰めさせて言った。
「俺は鮫と毒蛇以外は困っている生きものは助ける主義だ」
「どっちもオーストラリアには多いな」
「どっちも危ないから近寄らないからな」
「どっちも近寄ったら死ぬだろ」
「食われるか噛まれるかしてな」
そうしてというのだ。
「死ぬからな」
「馬鹿じゃないとそうするな」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「俺は鮫と毒蛇以外は助けるぞ」
「フクオオカミでもだな」
「そっちは助けて動物園に連れて行く」
絶滅したと言われている生きものだからだ、フクロオオカミを観たという話が今も絶えないが絶滅説が強い。
「タスマニア島以外にいないそうだがな」
「そっちの生きものはそうするな」
「ああ、それでカンガルーもな」
「助けるな」
「そうするな、じゃあ行くよ」
「よし、俺も手伝うぞ。俺はジョン=テイラーだ」
黒髭の男はここで名乗った。
「西オーストラリア州で羊を飼ってる、今は旅行でここにいてホテルから出て朝の散歩をしていたんだ」
「牧場やってるか」
「家族でな、樵もやってる」
こちらの仕事もしているというのだ。
「だから力には自信があるぞ、泳げるしな」
「そうか、俺はラグビーをやっていた」
クローザーも自分のことを話した。
「そして今は建設現場の監督だ」
「お互い力に自信があるな」
「それも泳げる」
「じゃあ救助にはおあつらえ向きだな」
「早速行くぞ」
こう話してだった。
二人は湖に入った、そうしてだった。
泳いで溺れているカ
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