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空き家にいた犬達
第二章

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「ハムのお話をしてもらいましたが」
「その娘もですね」
「デナーリスといいます」
 タラはその名前も話した。
「ある人が引っ越した家に入りますと」
「そうしたらですか」
「この娘がいたと連絡を受けました」
「置いていかれたんですね、その娘も」
「はい、骨と皮ばかりになるまで痩せていて」
 そうしてというのだ。
「弱りきっていました」
「危なかったんですね」
「かなり、ですが私が引き取って知り合いの獣医に診せて」
 その獣医が実はエイミーの仕事相手だった、そのつてで今はタラと話しているのだ。
「治療をしてもらってご飯やお水をあげて」
「元気になりましたか」
「「この通り」
「ワン」
 見れば今は均整が取れた体格だ、鳴き声にも元気がある。
「そうなりました」
「それは何よりですね」
「それで今度コロラドにいる人が引き取ってくれて」
「家族に迎えてくれますか」
「はい、ですが酷い人達がいますね」
 苦い顔になってだ、タラはこうも言った。
「世の中は」
「はい、飼えないならです」
「それなりの行動がありますが」
「お家に置いてけぼりなんて」
「酷過ぎます」
「全くですね」
 エイミーも同意だった。
「本当に」
「そんな人がいて」
「そして不幸になる犬がいることは」
「残念です」
「全くですね」
「ですからそうした子達を少しでも減る様にして」
「助ける様にしないといけないですね」
「はい、ではこの娘は」 
 エイミーはデナーリスを見ながらタラに話した。
「これから幸せになることを願います」
「そうしてくれますか」
「心から。そうしたことをする人が減ることも」
 こう言うのだった、そしてだった。 
 エイミーは家に帰ると夫にデナーリスの話をした、すると。
 彼は今は家にいる生きもの達と遊び終えて熟睡している彼を見て妻に話した。
「そう聞くと余計にね」
「ハムを幸せにしないといけないわね」
「そう思ったよ、その娘やハムみたいな子を少しでも減らして」
「助けてね」
「癒していかないとね」
「駄目ね」
「うん、心から思うよ」
 こう言ってだった。
 夫婦であらためてハムを見た、ハムはもう三十分ごとに目を覚まさない、一度寝たらまた目が覚めるまで熟睡している。そうなった彼を見つつ二人で思った。彼やデナーリスの様な不幸な子がこの世からいなくなればいいと。
 そしてその話を聞いてデラも頷いた、本当にそうであって欲しいと。


空き家にいた犬達   完


                   2021・10・26
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