提督のBlackOps遍
探り合い
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
盗聴器をローテーブルの下に仕掛けるのが目的であった。
「どうぞ」
「ん」
青葉からワイヤレス式のイヤホンを受け取り、耳に付ける。
『やれやれ、厄介な客だ』
イヤホンから聞こえる長門の声。小型でも流石は明石謹製、集音性はバッチリだ。
『気付かれたでしょうか?』
『さてな。提督の不在に突っ込まれた時には胆を潰したが、取り敢えずは大丈夫だろう』
どうやら、長門は提督達に何かを隠しており、大淀もグルになってその『何か』を隠蔽しようとしているらしい。
「あっさりとウタってくれれば楽なんですがねぇ」
「案外ポロッと漏らすかも知れんぞ?」
「その根拠は?」
「ほれ、苦手な上司が居なくなった途端に愚痴溢す……みたいな?」
「あ〜、わかります」
長門と大淀の会話を聞きつつ、言葉を交わしながら周囲を見渡す。歩いている艦娘達は平静を装ってはいるが、若干頬が痩(こ)けていたり目の下の隈がうっすらと見える者もいる。
「栄養状態がよろしくねぇな」
「ですね。辛うじて最低限の栄養は摂ってそうですが」
こうなるとこっちが持ってきた撒き餌がかなり効きそうだな、と目論見が当たった事を内心喜ぶ。『衣食足りて礼節を知る』という言葉のある通り、飢えは人から冷静な判断力を奪う。何かしらの機密があったとしても、飢えた状態で食糧をチラつかされれば、全員でなくとも少しは喋る者も出るだろう。
『しかし……厄介な物だ。提督が居なければ艤装にロックが掛かるとは』
『安全装置の一環なのでしょうが、今の我が鎮守府には好ましくない機能ですね』
「む?」
「来ましたね」
いよいよ本題が聞けるらしい。
『しかし要らんだろう?提督等という存在は。安全な後方でぬくぬくと指示を出すだけの人間など、居なくても変わらん』
『ふふふ、だからこそ貴女を中心にした強硬派が提督を監禁した……そうでしょう?』
『ふん、私の方が有能だと大本営に示そうとしているだけだ。それに……』
『それに?』
『私は男という生き物が嫌いだ』
秘書艦・長門の突然のカミングアウトに、提督と青葉はずっこけそうになった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ