第113話『空中戦』
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ばいけない場面だ。しかし、
「ふっ!」
今の緋翼のパワーとスピードであれば、その羽根1枚1枚の挙動を見切り、撃ち落とすことは容易であった。双剣を巧みに操り、羽根の嵐を切り抜ける。
だが、これで終わりではない。防御で身動きが取れなかった緋翼に向かって、舞の飛び蹴りが向かってきていたのだ。
「そこだ! とりゃあ!──あれ?」
完全に隙を突いた一撃が緋翼に炸裂──することはなく、すり抜けるように彼女の身体を貫いた。直撃したと思ったのに、まるで手応えがない。
それもそのはず、それは緋翼が残した残像だったのだから。
「──"不知火返し"!」
「なんですと……!?」
呆気に取られる舞のすぐ横からすっと双剣が現れ、鋭いカウンターがお見舞いされる。勢いが大きかったせいで、その反撃が手痛く突き刺さった。
"不知火返し"もまた集中力を必要とする技のはずだが、今の緋翼では息を吸うように行なえる。これが彼女の切り札の利点の1つと言えよう。
「はあっ!」
「ぐっ……」
カウンターでよろけた舞に、緋翼は追撃を怠らない。
普段は太刀でリーチを確保していたが、今は短い双剣で手数重視。いくら目の良い舞でも多くは避けられない。
「"緋翼連斬"!!」
「きゃああああ!!!」
双剣だけでなく剣翼まで含めた怒涛の連撃。直撃してしまった舞はダメージで翼が解除され、地面へと落下していく。
『小鳥遊選手、フィールドに墜落しました! ピクリとも動きません! 果たして無事なのでしょうか?!』
「はぁ……はぁ……」
舞が仰向けに倒れている傍ら、緋翼は肩で息をしながら地上に降り立つ。その背中にはもう翼はない。時間切れだ。
「勝った、の……?」
遠目では全く動いていないが、僅かに手が動いている。まだジョーカーによる戦闘不能の判定は下されていないし、降参の意思も感じられない。つまり、まだ試合は続いている。
──仕方ない。倒れている相手にとどめを刺すのは気が引けるが、これは勝負。勝つためだ。
太刀を取り出して振り上げたその時、ふと目の前の視線とかち合う。それはフィールド外からこちらを見ていた終夜の瞳だった。
「……待ってて。今終わらせるから」
自分のために、そしてリーダーである彼のために勝利を捧げる。それが今の緋翼のやるべきことだ。この刀を振り下ろせばそれで終わり。ここで栄えある1勝をもぎ取り、優勝に向けて駒を進めるのだ。
──終夜から目を離し、視線を下ろした瞬間だった。
「うがあぁぁぁぁ!!!」
「なっ!?」
勢いよく起き上がった舞による
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