暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第113話『空中戦』
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


終夜の事細かな解説に感心しながら、剣で翼を象った理由をようやく理解する。
剣で翼を作るなんて、そんな発想は見たことも聞いたこともない。彼女の能力(アビリティ)の"刀をモチーフにしなければいけない"という制限があったからこそ思いついたのだろうか。恐るべし。
ただ、舞台が空ということで緋翼が不利という状況には変わりない。自慢のスピードも生かし切れないという訳か。


「そしてこれが一番の問題なんだが、あの武装を維持するためには相当集中力が必要で、呼吸一つすら気を張らないといけないらしい。だから体力よりも精神にクる。つまり、持続は保って5分だ」

「5分!?」


衝撃の事実に声を上げて驚いてしまう。
5分というと、晴登の会得したての"疾風の加護"の持続時間と同じくらいである。
しかし、緋翼の場合はそれが切り札だ。その5分を凌がれたらもう勝ち目はないと言っていい。

つまり、この勝負の決着は5分後。その時にはどちらかの勝利が決まってしまう。


「ここでその選択をするなんてな──面白ぇよ」


博打も博打、大博打。緋翼の選択は空中戦を挑むという最悪手でもあり、切り札を切るという最善手でもある。
そんな当初の作戦と全く異なる展開に、終夜は怒るかとも思ったが……意外にも笑っていた。彼自身、この予想もつかない事態にワクワクしているのだろう。なんて酔狂な。


「頑張ってください……!」


とはいえ、彼女の選択をとやかくは言えない。晴登もまた、興奮しながら応援するのであった。







「はぁぁぁ!!!」

「速っ……!」


地面を踏み込んでから刹那、舞の正面には既に緋翼がいた。地上から空中まで一直線、まるでミサイルかのようなその突進。速度も迫力もさっきと段違いで、怯んだ舞はガードが一瞬遅れてしまう。


「ぐっ……!」


斬撃を翼で完全には受け止め切れず、くるくると後方へ吹き飛ばされる。
なんと危うく観客席にぶつかる寸前まで飛ばされたが、羽ばたきを駆使してなんとか空中で堪えた。


『先程までと形勢が逆転! 辻選手が小鳥遊選手を追い詰めています!』


「へへ、やるじゃん」

「まだまだいきますよ」


舞がにやりと笑みを浮かべる一方で、緋翼はあくまで冷静だった。ここで熱に呑まれると武装が解けてしまうからだ。決してペースを乱してはならない。


「それじゃ、いっくよ〜!!」


舞は大きく1回羽ばたくと、猛スピードで緋翼に向かっていく。こちらもさっきまでと比べて、ギアが変わったかのように速い。


「とりゃりゃっ!」


加えて、何十枚もの羽根を放ってくる。逃げ場もないくらいの広範囲攻撃。どうにかして防がなけれ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ