第14節「呪いの凶刃」
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「お初にお目にかかります。僕はノエル」
ノエルと名乗った青年は、腰からナイフを引き抜くと俺の方に向ける。
「伴装者、風鳴翔。君の相手はこの僕だ」
「つい最近、見たような顔だ。キャロルの仲間か?」
「ええ。あなた達が保護した出来損ない、エルフナインと同じホムンクルスですよ。まあ、僕はアレとは違ってこちら側なのですが」
もう一体のホムンクルス。それに加え、4体目のオートスコアラーか……。
おそらく、ここで響のギアまで破壊するつもりだろう。
最後の念押しに2人がかり、と言ったと辺りだろうか?
「響、こっちは任せろ。君はオートスコアラーを頼む」
「無茶はしないでねッ!」
そう言って響は拳を握り、赤毛のオートスコアラーへと向かっていった。
「懸命ですね。彼女を僕と戦わせていたら、無傷では済みませんでしたよ」
「どういう意味だ?」
「それは勿論……こういう意味ですよッ!」
次の瞬間、ノエルは一瞬で俺の目の前に接近し、ナイフを振り下ろしてきた。
「ッ!?」
「防ぎましたか。流石ですね」
「そのナイフは……ッ!」
禍々しいオーラを帯びた古めかしいナイフ。
咄嗟に構えた隠し武器、エルボーカッターが受け止めたそれは、ただの骨董品にしては物々しい雰囲気を醸し出している。
「哲学兵装、“切り裂きジャックのナイフ”」
「なに……?」
「あなた達が扱うのが“ウタノチカラ”なら、これに宿っているのは“コトバノチカラ”。長い時を経て積層された呪い、対象の在り方を捻じ曲げる想念の力を武器としたものッ!」
一度飛び退き、再び接近してはナイフを振るうノエル。
俺は両腕の刃で、その尽くを捌いていく。
振り下ろされればそれを防ぎ、突き出されれば受け流して鳩尾を狙う。
しかしノエルは突き出された掌底を、まるで地面を滑るようなバックステップで素早く躱す。そして再びスケートでもするかのように滑らかな踏み込みで接近し、俺にナイフを振るった。
剣戟を鳴らして幾度も交差する手刀と凶刃。ナイフの刃先がぶつかるだけで広がるヒリヒリした感触は、それが当たればただでは済まない事を示していた。
「人々の認識、想念から生まれた呪いだとッ!?」
「このナイフは切り裂きジャックが使っていたとされている物でしてね。人々がそう信じた時、このナイフには呪いが宿ったんですよ……」
そう言ってノエルは、戦っている響の方をちらりと見て、その口元に冷たい笑みを浮かべた。
「“狙った女性は必ず殺す”のが、切り裂きジャックという殺人鬼でしたからね……」
「ッ!?させるかッ!!」
拳を固く握り、眼前のノエルへと素早く突き出す。
しかし、ノエルはそれを素早く躱して俺の懐に入り込もうとする。
「ハアッ!ヤッ
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