第二十六話 部活ではその八
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「スマートで奇麗でね」
「ミステリアスで大人の」
「人ね、作家さんだとこの人ね」
「そうなるのね」
「三島由紀夫は精悍ね」
こちらの美形だというのだ。
「何でも鍛えていたのは見せる上半身で下半身はあまりね」
「鍛えてなかったの」
「そうだったっていうけれど」
「ただ顔立ちは整っていて」
「いつも運動していたからね」
ボディービルに剣道にだ、剣道の稽古は欠かしておらずその腕前は五段だったというから本物だった。
「だからね」
「それでなのね」
「下半身、足腰もそれなりにね」
「鍛えられていたのね」
「そうだったと思うわ、剣道は下半身も使うでしょ」
こちらもというのだ。
「振るだけじゃなくて」
「うちの学校の剣道部毎日走ってるしね」
「あの剣道部滅茶苦茶走ってるわよね」
「練習の半分じゃないかっていう位にね」
そこまでというのだ。
「走ってるわね」
「摺り足とかで必要だから」
足腰もというのだ、同級生は咲に話した。
「剣道をするにも」
「足腰は必要で」
「剣道をしていても」
それでもというのだ。
「鍛えられるわよ」
「じゃあ全然駄目じゃないのね」
「そうだと思うわ、上半身が凄くて」
「下半身、足腰は弱かったって言われるけれど」
「足腰もそれなりにね」
剣道をしていたからだというのだ。
「鍛えられていた筈よ」
「そうなのね」
「それで私のタイプは」
「作家さんだと三島由紀夫ね」
「性格も鷹揚で気前が良くて器が大きくて」
「いい人だったの」
「努めてそうしていたかも知れないけれど」
俗に『三島由紀夫』を演じていたとも言われている、彼の本名は全く違う名前であったことは彼を知る者の中では常識の一つだ。本名は平岡公威といった。尚彼の家は高級官僚の家であり彼自身最初は大蔵省に勤務していた。
「それでもね」
「人柄もよかったのね」
「そうみたいよ」
「そうしたところからもなのね」
「私のタイプなのよね」
三島由紀夫がというのだ。
「本当に」
「確かに三島由紀夫もね」
咲は彼の顔立ちを脳裏に思い浮かべつつ述べた。
「素敵ね」
「でしょ?」
「もてそうね」
「俳優さんでもあったしね」
「そうだったの?」
「それも主演でね」
この立場でというのだ。
「映画にもね」
「出てたの」
「舞台にもね」
「色々していた人だったのね」
「表現者でもあったのよ」
作家としての顔以外にこちらの顔も持っていたというのだ。
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