第二章
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「姉妹揃って散歩が出来たんだ、もっと前にね」
「あの二人が心ある人達なら」
「性格も頭もな」
「物凄く悪かったから」
「こんなことなんてな」
「思わなかったのね」
「一つのおもちゃでしか遊べないんだ」
ふわりの元飼い主にして赤ん坊達の前の親だった彼等はというのだ。
「だからな」
「こんなことはよね」
「とてもな」
それこそというのだ。
「出来るものか」
「そうよね」
「幸せになるにもそれなりのものが必要なんだ」
「性格も頭も」
「両方な」
「それなりのものが必要なのね」
「あそこまで性格も頭も悪いとな」
文太は今度は忌々し気に語った。
「幸せになれるものか」
「そういうことね」
「自分の子供達も幸せに出来なくてな」
そうしてというのだ。
「自分達自身もな」
「幸せになれないのね」
「そうだ、そろそろ警察から出て来るがな」
その二人はというのだ。
「出て来てもな」
「何もないわね」
「前科がついて禁治産者になって親権もなくなったんだ」
「もう何もなくて」
「悪いものばかりついたんだ」
そうなったからだというのだ。
「だからもうな」
「あの二人は幸せになれないわね」
「もうどん底まで落ちた」
「そうなったから」
「それこそな」
「幸せになるなんてね」
「出来るものか、しかし祈里ちゃんと里菜ちゃんは違う」
文太は妻が押しているベビーカーの中にいる娘と自分が背負っている娘をそれぞれ見た、今度は優しい目であった。
「そしてふわりもな」
「ふわりは私達が育ててね」
「祈里ちゃんと里菜ちゃんは本当の親に育ててもらう」
「だから幸せになるわね」
「絶対にな、そして今もな」
「姉妹揃って幸せね」
「そうだ、この幸せが最後まで続く様にしないとな」
文太は自分自身にも言った、そうしてだった。
散歩の後も姉妹揃っての時間を過ごさせた、それから夜になると。
洋介が家に帰って来た、リビングに入ると赤ん坊達は寝ていて。
その横でふわりが妹達を護る様に丸くなって寝ていた、洋介は一緒に寝ている姉妹達を見て笑顔で言った。
「このままずっとな」
「ああ、姉妹揃ってな」
「祈里ちゃんと里菜ちゃんは別の家に入るけれどな」
「うちの近くだからな」
文太は息子に話した。
「だからな」
「何時でもこうしてな」
「会えて一緒にいられてな」
「皆幸せでいられる様にしないとな」
「そうすることが親だ」
文太は息子に強い声で言った。
「親だとな」
「こうしてだよな」
「そうだ、子供を幸せにするものだ」
「自分達だけ楽しむものじゃないな」
「おもちゃで遊んでな」
「そうだよな」
「だから俺達はふわりを幸せにしてだ」
自分達の娘である彼女をというの
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