五十三 招かれざる客
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「シカマルのやつ…上手くやってくれたようだな」
薄暗い森の中。
静まり返った其処で己の高笑いがよく響く。
今し方殺したシカマルの遺体を前にひとしきり嗤った飛段はやがて笑いを抑えると、気を取り直して、首をコキリと鳴らした。
「行くか。流石に角都ももう終わってんだろ」
動かなくなったシカマルの身体に、飛段は背を向ける。
シカマルが辺り一面に仕掛けた起爆札付きクナイが縦横無尽に張り巡らされた蜘蛛の巣の如き其処で、飛段は余裕綽々とした風情で己の術を解いた。
【呪術・死司憑血】。対象者の血を体内に取り込むことで術者の身体と対象の身体がリンク。
自らの血で描いた陣の上で、術者が受けた傷が対象にも同様に現れる特異な呪術だ。
身体がリンクされた後は何処へ逃げようとも攻撃を回避するずべはなく、不死である飛段にしか実質使えない、必殺の威力を誇る術。
その術の餌食となったシカマルに無防備に背中を向けた飛段は、直後、迫りくるクナイに驚きを隠せなかった。
飛段の額当てが飛ぶ。
首の頸動脈を狙ったクナイが鈍い光を放った。
「な…っ!?」
「チ…ッ、浅いか」
舌打ちするシカマルの攻撃に、飛段は眼を見開く。
己の術で死んだはずの男が影真似の術で自身を拘束するよりも、彼が生きている事実に対する驚愕のほうが大きかった。
「な…てめぇ…なァんで生きてやがる!?」
「残念だったな。てめぇが殺したのは、てめぇの相方のほうだよ」
飛段の疑問に、シカマルが種明かしする。
角都の血が入った血液用カプセル。
再不斬によって抜かれた角都の血を飛段の得物に付着させ、その血を取り込ませ、シカマル自身はやられたふりをしていた。
それを使って飛段を罠に嵌め、角都の複数ある心臓を削るのに一役買ってもらったという話を淡々と語るシカマルを前に、利用された飛段の額に青筋が浮かぶ。
もっとも、流石にナルが角都へ術を当てるのにも一役買っているとは露知らず、シカマルは酷く冷静に飛段を見据えた。
シカマルの種明かしの説明を受け、逆上しかけた飛段は、ややあって落ち着きを取り戻すように、ふ──っと長く息をついた。
「大したもんだ。俺と角都、どちらも追い詰める為に此処まで綿密な計画を企てるとはな…だが、」
自身の身体を縛る影から逃れ、立ち上がる。
まったくの自由にはなれないものの、多少なりとも動ける我が身に、飛段はニタリと嗤った。
「お前…縛るたびにだんだん術の強さと効果の持続時間がお粗末になってきてるぜ。つまるところ、てめぇのチャクラも限界なんじゃないのか…ええ、おい」
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