第一話 幸せとは何かその十
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「工業科の子と付き合う?」
「そういうことね」
「どう?これ」
「いいかもね」
留奈は一華のその考えに真剣な顔で頷いた。
「それも」
「そうでしょ」
「あっちは男の子ばかりでね」
「彼女出来ない子多いでしょ」
「商業科と正反対にね」
「だからよ」
そうした状況だからだというのだ。
「ここはね」
「工業科の子にアタックかけるのね」
「そうする?さもないとよ」
一華は今度は深刻な顔になって述べた。
「私達このままよ」
「高校さん年間ずっと彼氏なしね」
富美子はこの現実を指摘した。
「商業科で一人になった男の子狙っても」
「ライバル多いでしょ」
「そうよね」
「あれよ、ピラニアよ」
一華はここでも真顔で語った。
「お肉に群がるね」
「大きな牛があっという間に骨になるのよね」
「そんな勢いで摂り合いになるでしょ」
「商業科はね」
「先輩まで出て来て」
二年生三年生もというのだ。
「入学早々そうだったじゃない」
「だったらね」
「仮にね」
「一人になった子がいても」
「それでも」
「もうすぐにね」
「取り合いになるから」
その男子のというのだ。
「だからね」
「私達までなんてね」
それこそというのだ。
「回らないわ」
「もうあれよね」
理虹はやれやれという顔で述べた。
「弱肉強食よね」
「そうよね」
一華もその通りだと頷いた。
「恋愛にルールはないっていうけれど」
「その通りよね」
「もうね」
それこそというのだ。
「男の子はね」
「商業科だと取り合いよね」
「早いもの勝ちでね」
「アタックが強ければ強い程で」
「それでぐっとくるものがあって」
「相手の子のタイプかどうか」
それがというのだ。
「法律なんかなくて」
「あるのはそういうのだけ」
「それでね」
「弱肉強食よね」
「そんなところだから」
留奈も言ってきた。
「私達までね」
「とてもね」
「商業科では彼氏なんてね」
「中々出来ないわね」
「そうよね」
「男の子二人に女の子五人」
一華は八条学園高等部商業科における男女比率を述べた、これは農業科でも同じ位であり看護科だと圧倒的である。
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