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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
剣交-しんけんしょうぶ-
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団だろうが容赦なく一撃で斬り捨てて来た。
ということは、だ。
「旅人さん…笑ってる?」
「いや、武蔵が楽しそうでなによりだと思ってな。」
今この瞬間を心の底から楽しんでいる。
「…!」
武蔵はここから追い上げていくと言わんばかりに反撃を始める。
斬る、斬る、斬る。
振るわれた草薙剣をかわし、嘲笑うかのようにそこに着地し、首を取りに行く。
伊吹童子は咄嗟に体をずらす。
首は狙えなかった、しかし攻撃は当たった。
すれ違い、後ろに武蔵が着地すると同時に肩から鮮血が吹き出す。
その光景に思わず声を上げる伊吹童子のマスター。
まだだ、武蔵の攻撃はまだ終わらない。
振り向きざまに彼女は草薙剣を振るうも、そこに既に武蔵の姿はない。
宙に跳び、既に次の攻撃へと移行している。
「へぇ…思ったより」
やるじゃない。
そう言おうとしたのだろうが、余裕さの溢れる彼女の言葉は途中で遮られた。
空中で身をひねり、武蔵から繰り出されたのは剣撃。
剣から迸った衝撃波は伊吹童子を襲う。
頬に僅かながら切れ込みが入り、そして髪の一部分が切り飛ばされ舞い散る。
驚愕。
彼女は驚きのあまり、言葉を中断したのだ。
「戦いの最中に無駄口を叩かない事ね。でないとさすがのカミサマといえど、次はその長い舌を取られるから!」
「…!」
剣を持っていない片腕が動く。
武蔵の頭を掴もうもしたが、難なくかわされ、次の瞬間腕からは血が迸る。
草薙剣を振るう、かわされる。
捕らえようとする、かわされる。
八岐大蛇の首を召喚する。瞬時に切り刻まれる。
彼女を翻弄するように、ただでさえ速かった武蔵はもっと速くなる。
そのスピードを増し、攻撃の激しさを増し、伊吹童子は辺りを見回すも武蔵の姿を全く捉えきれていない。
その表情からは先程まであった余裕という名の笑顔は消え失せ、固く結んだ口からは真剣という感情が読み取れた。
そして、目を見てわかる。
初めて彼女の瞳に、武蔵を見るその目に、明確に"殺意"と呼べるものが宿った。
「楽しいわね…!ここまで追い込んだ骨のある人は初めてよ…!!」
「だから聞いた!!お前の目の前に居る英霊が、何者だと!!!」
八岐大蛇の分御霊、カミなるもの。
その威圧感で人を畏れさせ、圧倒的な力で全てをねじふせる。
脅威の神霊ではあるが、今その伊吹童子が相手している者は生涯無敗を貫いた二天一流の大剣豪、宮本武蔵。
しかし、ただの武蔵ではない。
「それに…あんな啖呵切って決闘に臨んだのだから、大和くんの前でカッコ悪いところは見せられないしね!!」
俺の、竜胆大和の宮本武蔵だ。
「ほう…。」
笑顔の消えた伊吹童子。
しかしまた、彼女の顔に笑顔が戻る。
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