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イベリス
第二十六話 部活ではその四

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「もう適当に漢字とか横文字使ったら」
「出来るでしょ」
「ええ、そうよね」
「それじゃあね」
 同級生にあらためて言った。
「案外」
「そう、小難しい言葉って実はね」
「ちょっと文章書くことが出来たら作られるのね」
「それを延々と羅列すれば」
 それでというのだ。
「出来上がりよ、何を言ってるかわからなくても」
「いいのね」
「何を言ってるかわからない文章をあえて出して」
 そしてというのだ。
「読者さんに読ませる」
「それがいいのね」
「それで読者さんが頑張って読むのよ」
 その文章をというのだ。
「読解せんとしてね」
「それで読めなかったら読解力がない」
「つまり馬鹿ってなるのよ」
「そういうことね」
「それで読めたらね」
「読解力がある」
「その自分頭いいってなるのよ」
 そう錯覚するというのだ。
「もうそこにはキャラクターやストーリーとかなくて」
「小難しい文章だけね」
「それだけでその文章取ったら」
「キャラクターもストーリーもない」
「それで肝心の文章もね」
 これもというのだ。
「読みにくい」
「それで終わりね」
「要するに下手」
「最低の評価ね」
「純文学でも太宰治って読みやすいでしょ」
「私走れメロスしか知らないけれど」
 中学の授業で習ったものだ、言うまでもなく太宰治の代表作の一つである。
「確かにね」
「わかりやすい文章でしょ」
「かなりね」
「それで宮沢賢治もでしょ」
 この童話作家もというのだ。
「読みやすいでしょ」
「小学校の教科書でしょ」
「小学生でもすらすら読める」
「それだけわかりやすいのね」
「私最近純文学も読んでるけれど」
 咲にこのことも話した。
「芥川龍之介もね」
「読みやすいの」
「この人は作品によって文章変える時もあるけれどね」
 奉教人の死等ではそうだ、候文の作品もある。
「大体はね」
「読みやすいのね」
「末期の作品頭おかしいのかって思うけれど」
「あの人自殺してるし」
「そのせいかね」
「最後の方の作品はおかしいのね」
「もうどう考えても頭おかしい状況で書いた作品ばかりなのよ」
 芥川の末期の作品の特徴である、暗鬱極まる作品か明らかに狂気が感じられる作品のどちらかであるのだ。
「これがね」
「やっぱり自殺してるから」
「絶対にそうね、まあ太宰も自殺してるけれどね」
「そうよね」
「けれど二人共読みやすいのよ」
 その文章はというのだ。
「宮沢賢治もで夏目漱石もね」
「読みやすいのね」
「三島由紀夫は凄く奇麗な文章だけれど」
 その美麗な文章でも定評がある。
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