第三百四十一話 八条荘に帰ってその十四
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「教えるのも当然だ」
「親だからだね」
「子育ては義務だ」
「親なら」
「何で親か」
僕にこうも言ってきた。
「育てるからだ」
「だからだね」
「それを放棄したらな」
それならというと。
「もうな」
「親じゃないんだね」
「ああ」
その時点でというのだ。
「そうなるんだよ」
「育児放棄したら」
「もうな」
「それで親じゃないんだね」
「生きものもだよ」
「飼育放棄したら」
「それでな」
その時点でというのだ。
「飼い主じゃないんだ」
「自分で絆を切ったのかな」
「そうだよ、それで後で子供が立派になってな」
「頼るっていうか」
「たかってもな」
「どうしようもないんだね」
「覆水ってやつだ」
盆に還らず、この言葉も言ってきた。
「やったことは返らなくてな」
「自分から切った絆は」
「戻らないんだよ」
「そうなんだね」
「それも世の中だ、ただ反省と和解はな」
これはというのだ。
「出来るさ」
「それで絆が戻ることも」
「あるさ、けれどな」
親父は僕に言ってきた。
「反省と和解はな」
「必要だね」
「その二つがないとな」
どうしてもというのだ。
「絆は戻らないさ」
「その場合は」
「そのことも覚えておけよ」
僕に電話の向こうから笑って言ってきた。
「よくな」
「それじゃあね」
「ああ、あとな」
「あと?」
「お前晩ご飯食うだろ」
「これからね」
「何だ、おせちか」
夕食のことも聞いてきた。
「やっぱり」
「そうみたいだよ」
「そうか、俺は元旦になった瞬間に食べたけれどな」
それでもと言うのだった。
「けれどお前もな」
「食べるよ」
「そうしろ、おとそも飲んでな」
「そうしてだね」
「楽しめ、おせちも色々でな」
色々なメニューがある。
「好き嫌いもあるけれどな」
「好きなお料理とそうでないのがね」
「けれどな」
それでもというのだ、おせち料理はメニューの種類が多いだけあってどうしても好き嫌いが存在するのだ。
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