第三百四十一話 八条荘に帰ってその七
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「もうどんな状況でもな」
「優勝するってだね」
「そんな安心感があったんだよ」
「そうだったんだね」
「お前は知らないな」
「生まれる前だからね」
だからこの目では見ていない。
「実際にはね」
「そうだな、しかし俺はガキの頃でも見たからな」
「言えるんだね」
「もう何があってもな」
「どんなピンチでも」
「最後はその盤石の強さでな」
それで以てというのだ。
「勝っていたんだ、打線も守備も投手陣もな」
「全部なんだ」
「揃っていたからな」
「滅茶苦茶強かったんだね」
「打線は長打力もつなぎも走塁もな」
まさにその全てがというのだ。
「揃っていて投手陣も先発中継ぎ抑えってな」
「揃っていたんだ」
「それで采配も隙がなくてな」
森監督だったことは知っている。
「だからな」
「盤石の強さで」
「その強さでだったんだ」
「毎年優勝していたんだよ」
「そうだったんだね」
「もうな」
それこそというのだ。
「あの頃の西武に勝つなんてな」
「難しかったんだね」
「だから毎年日本一だったんだよ」
「そうだったんだね」
「もう西武の優勝は見飽きたってな」
毎年日本一になるからだ。
「言う人もいたな」
「九連覇の時の巨人みたいなのかな」
「もっと強かったかもな」
親父の返事は素気ないまでのものだった。
「正直言ってな」
「あの頃の巨人よりもなんだ」
「本当に隙がなかったからな」
だからだというのだ。
「ソフトバンクだって超巨大戦力って言ってもな」
「あそこも強いよね」
「しかし監督元々西武の人だろ」
「秋山さんも工藤さんもね」
二人共その黄金時代の西武の主力選手だった。
「そうだったね」
「あそこまでになったのはな」
「西武の野球を採り入れたからだね」
「その西武の監督でフロント仕切っていた根本さんが入ってな」
ダイエーの時のことだ。
「それからだからな」
「あそこは西武の流れを汲んでるんだね」
「むしろ今の西武以上かもな」
「西武の野球をやってるんだ」
「楽天もそうだろうけれどな」
「そうなんだね」
「それ見たらわかるだろ」
こう僕に言ってきた。
「当時の西武がどれだけ強いか」
「盤石だったんだね」
「それでその西武が優勝してもな」
「百貨店がバーゲンになるから」
「いいんだよ」
「ちゃんといいことがあるんだね」
「けれど巨人はな」
翻ってこのチームはだ。
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