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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百四十一話 八条荘に帰ってその四

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「歯を磨いてからね」
「俺もさっきまで寝ていた」
「親父もなんだ」
「元旦になって旅館のおせち食ってな」
 そうしてというのだ。
「おとそ飲んでお参りしてな」
「そうしてなんだ」
「ちょっとな」
「寝てたんだね」
「母さんと一緒にな」
「お袋とずっと一緒だね」
「当たり前だろ、夫婦で来てるんだぞ」 
 京都にというのだ。
「だったらな」
「ずっと一緒だね」
「久し振りに一緒に暮らせる様になったしな」
 それだけにというのだ。
「今年の年末年始はな」
「ずっと一緒にいるね」
「それであっちに戻るな」
「イタリアにだね」
「イタリアもいいけれどな」
 親父はここでこうも言った。
「やっぱり年末年始はな」
「日本がいいんだ」
「日本の年末年始が一番だ」
 何と言ってもというのだ。
「だからな」
「戻って来てるね」
「それで今年一年世界が去年以上に穏やかでお前が健康で幸せである様にな」
「初詣で願ってくれたんだ」
「お前は何願ったんだ?」
「世界が平和であって」 
 そしてだ。
「僕とね」
「ああ、そういうことか」
「そうしたよ」
「そうなんだな、やっぱり平和じゃないとな」
「よくないよね」
「戦争で人を助けるのは大事なことでもな」
 お医者さんとして言ってきた。
「そこで傷付いた人を助けることはな」
「大変だね」
「戦場は嫌なものさ」
 戦争について語る言葉は苦いものだった。
「だから俺もな」
「平和が一番だっていうんだね」
「ああ、それでお前も願ったんだな」
「そうだよ」
「そうだな、それはいいことだ」
「そうなんだね」
「ああ、それで俺はな」 
 今度は僕の親父として言ってきた。
「お前のこともな」
「願ってくれたんだ」
「今年一年元気でいろってな、母さんもな」
「元気でだね」
「いてくれってな、それと阪神もな」
 阪神タイガースもというのだ。
「今年もな」
「日本一にだね」
「なってくれってな」
「阪神はわからないからね」
「あそこは大丈夫だって思ってもな」 
 例え絶対有利な状況でもだ。
「ここぞって時にな」
「負けるチームだよね」
「あのチームに絶対はないんだよ」
 よく言われることだろうか。
「それこそな」
「信じられない負け方をするんだよね」
「ああ、だからな」
「今年もだね」
「お願いするんだ、阪神が勝つとな」
 そうなればというのだ。
「景気がよくなって明るくもなる」
「いいこと尽くめだね」
「巨人が勝っていいことがあるか」
 逆にというのだ。
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