第二章
[8]前話
「凄かったね」
「そうでしたね」
「ああなったらね」
「もうお金は」
「何でもないよ」
「まさに只の紙ですね」
「そうなるからね」
ハイパーインフレになればというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「もうね」
「資産はですね」
「常にだよ」
それこそというのだ。
「お金以外のものに変えておくんだ」
「そういえば」
ここで小坂は気付いて言った。
「社長の食器ですが」
「陶器はないね」
「全て銀ですね」
「それもだよ」
銀の食器もというのだ、彼は日本の皿やお椀、箸に至るまで全て銀製だ。それを使って食事を摂っているのだ。
「いざという時にね」
「財産になるからですか」
「中国でそうだからね」
「銀の食器ですか」
「お金持ちをはそれを使って」
そうしてというのだ。
「食べていていざという時は」
「財産にしていますか」
「潰しても溶かして元に戻せるし」
「食器は全て銀ですか」
「そうしているんだ、日本は今は経済は安定しているよ」
金田は真面目な顔で語った。
「けれどね」
「ずっとそうとは限らないですね」
「戦争があったり災害があったりね」
「あとは失政ですね」
「ジンバブエみたいなことは何処でも有り得るんだよ」
金田は真剣な顔で語った。
「それこそね」
「それは事実ですね」
「可能性はゼロじゃないから」
だからだというのだ。
「万が一いや億が一でもね」
「そうなった場合に備えて」
「私は現金を置かないんだ」
「そういうことですね」
「資産にはね」
「全て金化宝石で」
「銀だよ、お金はこの世を動かすけれど」
このことは紛れもない事実だが、というのだ。
「けれど脆いものなんだ」
「何かあればですね」
「すぐに只の紙になるから」
ハイパーインフレが起こればというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「これからもね」
「資産はそうしていかれますね」
「そうしていくよ」
「わかりました」
小坂も頷いた、そして。
あらためてジンバブエのハイパーインフレの話を聞いてそうしてそのうえで金田に対して言うのだった。
「確かにジンバブエの様になれば」
「お金なんてね」
「本当になんて、ですね」
「そうなるからね」
だからだというのだ。
「現金には頼り過ぎないことだよ」
「それが大事ですね」
「何があるかわからないから」
金田は真顔で語った、そうして資産を金等に換えておくのだった。
ハイパーインフレの恐怖 完
2021・10・23
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ