第三百四十話 戻って来てその八
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「義理や恩義もね」
「忘れない人なのね」
「何があってもね」
「そうした人だから」
「善人だよ、家庭もちゃんと見てるし」
幾ら遊んでも家にはちゃんと帰って来るし家族も大事にしている、そしてお金もちゃんと入れている。
「傾いていても」
「外道じゃないのね」
「だからね」
それでだ。
「親父はね」
「善人なのね」
「うん、そしてね」
それでだ。
「太く短くなら」
「それならなの」
「それも人生かなってね」
「義和は思ってるの」
「うん、ただね」
「ただ?」
「世の中で一番わからないのは人の一生だからね」
最近よく思うことだ。
「昨日元気でもね」
「今日はどうなるか」
「そんなのわからないからね」
それこそ誰にもだ。
「凄くいい奴が事故死したりとかもね」
「あるわね」
「僕の周りではまだそうしたことはないけれど」
それでもだ。
「そうした人もね」
「いるのね」
「悪人は絶対に報いを受けるけれどね」
因果応報だ、これは絶対にある。悪事の責任から逃れようとしても絶対に報いを受けるのはこの世の摂理だ。
「けれどね」
「いい人でも若くして死ぬ」
「そうしたことはね」
まさにだ。
「実際にあるからね」
「それはわからないわね」
「うん、人の一生はね」
本当にだ。
「わからないよ」
「この世で一番」
「それで親父もね」
「わからないのね」
「太く短くって言っていても」
事実そうした人生を送っていてもだ。
「長生きすることもね」
「あるわね」
「それはわからないよ」
「若死にするか長生きするか」
「誰にもね」
人間にはだ。
「人間五十年っていうけれど」
「織田信長さんね」
「五十年生きられない人もいるよ」
「百年生きる人もいて」
「それはね」
本当にだ。
「わからないよ」
「そうなのよね」
「人生はね」
もうそれこそだ。
「神様のお仕事だよ」
「それを決めるのは」
「予定説ってあるけれどね」
カルヴァン派の考えだ、ルターも一時期至ったらしいが後にその考えを変えたという。
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