第三百四十話 戻って来てその一
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第三百四十話 戻って来て
八条荘へ戻っていく中でだった、香織さんは僕に言った。
「ねえ、帰ったらどうする?」
「ずっと歩いていたからね」
僕は香織さんに答えた。
「だからお昼食べたら」
「お昼寝?」
「そうしようかな」
「そうするのね」
「だってね、年越しそば食べる前に少し寝たけれど」
仮眠を摂ったけれどだ。
「それでもね」
「大晦日からずっと歩いていて」
「色々行ったしね」
それにだ。
「お酒も飲んだし」
「それも醒めたし」
「かなり体力使ったから」
このことは間違いないからだ。
「お昼は多分お雑煮だけれど」
「それを食べたら」
「少し寝るよ」
そうするつもりだ。
「流石に疲れたからね」
「私も。何かね」
香織さんは僕に笑って話した。
「ここまでずっと歩いて見て回って巡って」
「疲れたよね」
「これまでは平気だったけれど」
それがというのだ。
「今何か急にね」
「疲れが出た?」
「どうもね」
「やっと終わりって思ったら」
その時にだ。
「疲れって出るよね」
「そうよね」
「これまで気が張っていたけれど」
「もうすぐって思ったら」
「その時はね」
まさにというのだ。
「気が抜けて」
「疲れが出るわね」
「疲れってね」
「気が張ってると意識しなくて」
「気が抜けたら」
その時にだ。
「出るよね」
「それもどっととね」
「だからね」
「今の私もなのね」
「そうなんだよ、けれどまだね」
「八条荘には帰ってないわね」
「だからね」
香織さんにさらに話した。
「あと少し頑張ろうね」
「実際に八条荘に帰るまで」
「その時までは」
「気を張っていよう」
「あと少しね」
「家に帰るまでが旅行だっていうし」
今回は旅行でないけれどだ。
「それでもね」
「帰るその時までね」
「イギリスのホラー映画でよくあるけれど」
「イギリスの?」
「あと少しで助かるって時に」
その時にだ。
「アウトなのはね」
「それ凄く残念ね」
「あそこは妙にシニカルだから」
そうしたお国柄だからだ。
「ホラー映画でもそうなんだ」
「あと少しでってところで助からないのね」
「ゴールが見えていて」
そして助かったと思ったらだ。
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