第一話 幸せとは何かその二
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「幸せかって聞かれたら」
「幸せよね」
「それはね」
「だったらね」
かな恵はグラスに自分でワイン、ボトルの中のそれを入れつつさらに言った。
「もうね」
「それで幸せなの」
「そう思うけれど、私は」
「そんなものなの」
「お家があって家族がいて食べものと飲みものがあって」
そしてとだ、かな恵はさらに言った。
「それでお風呂入られたらどう?」
「普通の生活でしょ」
「けれどこの生活戦争終わった直後だとね」
第二次世界大戦直後ならというのだ。
「もうね」
「ああ、あの頃はね」
「出来ないわよね」
「まさか」
一華は肩を竦めさせて応えた、それからまた言った。
「あの頃この神戸だってね」
「大変だったでしょ」
「空襲あってその後変な人達が暴れ回ってね」
「あの頃酷かったのよね」
留奈も言ってきた。
「神戸も」
「そうそう、警察も頼りなくてね」
理虹も話に入って来た。
「変な人達が暴れ回って」
「もうどうしようもなくて」
「高倉健さんの映画でもあったのよね」
「そうしたお話がね」
「あれでしょ、三代目さんが出て来てね」
登美子はやや鋭い目になって言った。
「自警団作ったのよね」
「そうだったのよね」
「お祖父ちゃん言ってたけれど」
「それで三代目さんプロレスとか芸能にも進出して」
登美子は唐揚げを食べつつ言った。
「それでね」
「そっちで大成功したのよね」
理虹はピザを食べつつ言った、料理は結構な味だ。
「美空ひばりさんとも関係深くて」
「そうらしいわね」
「まあとにかくあれよね」
理虹はさらに言った。
「当時の神戸なんてね」
「無茶苦茶だったのよね」
「戦争中とか終戦直後の生活聞いたら」
かな恵も言う。
「大変よ」
「というか餓え死にする人いたでしょ」
留奈はソーセージを食べつつ言った。
「それだけで大変よ」
「そうよね」
「ええ、洒落になってないわ」
かな恵に応えつつ彼女が飲んでいたグラスで白ワインを飲む、唇がかな恵の唇があたっていた部分に触れたが気にしなかった。
「あの頃は」
「あの頃に産まれてなくて幸せ?」
一華は腕を組んで考える顔になって言った。
「つまりは」
「もっと言えば北朝鮮どう?」
かな恵は一華に酔った顔で問うた。
「あの国に産まれたら」
「アウトよ」
一華の返事は一言だった。
「あそこだと」
「そうよね」
「食べものないでしょ」
そもそもというのだ。
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