第三章
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「幾ら買ってもお金が足りないから」
「新作買ってたら?」
「だから中古のね」
それも出来る限り安いものをというのだ。
「買う様にしてるの」
「節約してるのね」
「そうしてるの」
「そうなのね」
「お金があっても稼いでるだけ買わないと」
さもないと、というのだ。
「すぐになくなるからね」
「それでそうなったのね」
真奈美は妹達に言われてそうなのかとわかった、だが。
ここでだ、両親は真奈美自身に言ってきた。
「お前だってそうだぞ」
「アルバイトはじめて変わったわよ」
「それまで生活だらしなかったけれどな」
「色々とルーズだったけれど」
「しかしアルバイトはじめてな」
「随分変わったわよ」
「そうなの?」
真奈美は自覚のない声で応えた。
「私も」
「ああ、自分で気付いてなくてもな」
「そうなったわよ」
「そうなの、何かね」
真奈美は両親の言葉を聞いて言った。
「お父さんもお母さんもお仕事いいって言うのは」
「そうだ、それがお金を稼いでな」
「その大事さをわかってよ」
「その他にもいいことだからだ」
「人間としてよくなるからよ」
両親は真奈美にその通りだと答えた。
「だからあんた達が働きたいって言うといいって言ってるの」
「お金を稼げて人間性も磨けるからな」
「そうなのね。時間通りに行く様にして」
アルバイト先に遅刻しない様にだ、真奈美も思った。
「身だしなみ整えて働かないと駄目だしね」
「そうだろ、スーパーにしても」
「そうしないと駄目でしょ」
「だからお前がアルバイトしたいと言ってもいいって言ったんだ」
「こんないいことはないからね」
「そういうことね、よくわかったわ」
真奈美はしみじみとした口調で答えた。
「じゃあ私これからもね」
「働いていくな」
「そうするわね」
「そうしていくわ」
こう両親に答えてアルバイトを続けていった、それは大学に進学しても続き可奈美も保奈美もだった。
三人はアルバイトをしながら学業にも励んだ、真奈美はしっかりとして可奈美は成績を上げていき保奈美は節約していった。そうして三人共就職して結婚した時にはすっかりよいOLになり主婦になっていた。
勤労は美徳 完
2021・10・19
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